4. 訴訟になる前に取っておくべきだった対応(予防策)
(1)試用期間中の指導を適正に行い、改善機会を与えること
会社側は、Xの営業先の選定等について指導を行っていましたが、その内容は抽象的にとどまり、具体的な営業手法や改善点を示したものとは言い切れませんでした。
裁判所も、こうした指導のみをもって、「今後の指導によっても改善の見込みがない」と評価することはできないと判断しています。
適切な指導とフォローを行っていれば、本件のように解雇の有効性が争われる事態は回避できた可能性があります。
(2)採用時に適切に会社の期待する能力や成果を確認しておくこと
今回は、会社側が「富裕層人脈」や「即戦力性」を期待していたものの、その内容や水準について、面接時に十分な確認が行われていませんでした。
中途採用者について、特定の経験・人脈・スキルを重視するのであれば、採用選考の段階で、期待する能力や前提条件を具体的に明示し、応募者の実態を慎重に確認しておくことが必要不可欠になります。
採用時の確認が不十分なまま、入社後に「期待していた能力がなかった」として解雇に踏み切ることは、試用期間中であっても法的リスクが高いことを今回の裁判では示唆しています。

