グローバル標準のTAとは
グローバル先進企業では、TA組織が人材獲得の役割を担っています。TAは人材獲得を意味しており、人材を惹きつけるという意味でタレントアトラクションと呼ばれることもあります。
先ほども述べたとおり、TA組織の大きな役割の1つに人材を採用してくることがあるため、TA組織は「採用チーム・採用担当」と訳されることがありますが、その活動は採用だけにとどまりません。以下、TA組織の特徴を日本企業の採用チームと比較しながら説明します。
特徴①:事業部門のビジネスパートナーの役割を持つ
戦略的に人材を獲得するには、担当する事業の戦略や、職種・役職に求められることを深く理解する必要があります。そのため、グローバル先進企業のTA組織では、人材獲得を支援する事業、職種、役職層などで担当を分けていることが多くあります。
そして、TA担当は自身が担当する事業と定期的にコミュニケーションし、現在必要としている人材だけでなく、ヘッドカウントプランの見通しや将来必要になりそうな人材なども把握し、能動的に先を見越した活動をします。たとえば、現時点でオープンポジションがなく正式な採用リクエストは出せないが、次年度から増員見通しの職種がある場合、前もって候補者のリストアップ、候補者とのカジュアルなコミュニケーションなどに動き、必要時に紹介できる候補人材プールをつくっておきます。そうすることで、正式に採用をはじめるときに、すでに有力な候補者がそろっているという状況をつくり出し、採用リードタイム(Time to Fill/Time to Hire)を短縮できます。
ちなみに、人事領域の「ビジネスパートナー」となると、HRBPという役割がありますが、TAが成熟している人事部門では人材獲得部分はTA組織に任せ、その他のビジネスへの貢献をHRBPが担うということが多いです。
特徴②:社内外から人材を獲得する
担当事業部門の要件に合った人材は、社外だけでなく社内にもいる可能性があります。そのため、TA組織は社内・社外関係なく人材獲得活動をします。募集開始時は社外に採用案件を公開するだけなく、社内のジョブポスティング(社内公募)サイトにも同時に掲載します[1]。
注
[1]: 社内ルールや各国法律によっては、社内開示を先にするなど時間差で掲載する場合もあります。
グローバル先進企業では、社内のオープンポジションは透明性をもってジョブポスティング案件として公開されています。しかし、誰もがジョブポスティングサイトを頻繁にチェックしているわけではないので、潜在的な候補者に気づいてもらうために、社内のニュースレターなどで募集案件を紹介したり、その仕事の魅力を伝えたりすることもあります。また最近ではタレントマネジメントシステムを活用し、本人が同システムに登録したスキルや興味などから、社員1人ひとりに合わせたジョブポスティング案件をAIが推奨する例も出てきています。
このようにTA組織は、外部採用とジョブポスティングの両方を見ることになります。実際、1つの募集案件に対して、社外からの求職者とジョブポスティングで応募した従業員を並行して選考することもよくあります。採用コスト抑制や社内人材の有効活用方針などの理由で内部登用のみ認めたり優遇したりする場合はありますが、通常時は社外・社内かかわらず最適な候補者を公平に選定します。
ちなみに、日本よりも解雇規制がゆるいアメリカでも優秀人材の離職抑制や現有人材の適材適所の活用が重要になっており、欠員ポジションに対する内部登用率(ジョブポスティングなどにより社内の人材で欠員補充できた割合)を高めようとする動きがあります。
特徴③:自身も採用のプロ
TA組織は採用エージェントなどに採用活動を委託することはありますが、自らも採用活動を行います。たとえば、ビジネスSNSで会社の活動や募集案件の魅力を発信しています(採用ブランディング)。また、ビジネスSNSや外部の採用データベースから潜在候補者にコンタクトを取り、会社や募集ポジションの魅力を伝え、募集案件への応募を促してもいます(ダイレクトリクルーティング)。
グローバル先進企業ではふだんから、総ポジションの2~3%ほどのオープンポジションがあるため、TA組織は常に採用活動をしています。年度後半などに人件費コントロールなどの理由で外部採用を止める場合もありますが、それでも社内からの人材獲得は続けますし、外部採用でも先を見越した採用ブランディング、候補者プールづくりが必要であるため、活動が止まることはありません。

