「キャリア採用を積極的に行い、即戦力の人材を多く採用しているのに生産性が向上しない。むしろ適材適所が歪んできている」。労働市場の流動化が進み、キャリア採用が当たり前となったいま、多くの企業がこのような課題に直面しています。その原因は、採用チームが依然として「欠員補充の調整役」にとどまっていることにあります。グローバル先進企業では「タレントアクイジション(TA)」組織が「単なる採用」という枠を超えて適材適所に貢献しています。本稿ではTA組織の役割と実践について、日本企業の典型的な採用機能の潜在的課題を指摘したうえで解説します。
人材流動化の中で注目されるタレントアクイジション
こんな課題はありませんか?
- キャリア採用枠を増やし、即戦力人材・専門人材を多く採用したにもかかわらず、会社・組織全体の生産性が下がっている(上がっていない)
- 社内に適任となる候補者がいるにもかかわらず、外部採用で欠員補充をしてしまい、人員が余剰気味になっている
- 欠員の募集をかけてから採用決定(オファー承諾)まで平均60日以上かかっている
- キャリア採用チームが募集部門と採用エージェントとをつなぐだけの調整役になっている
キャリア採用市場が活性化しています。かつては「就職した会社で定年まで働き続ける」ことを暗黙の了解とする終身雇用の考え方が当たり前で、転職は就職した会社を裏切るようなネガティブな印象を与えがちでした。しかし今日、転職はキャリア意識の高い人が社外の新しい環境に挑戦するというポジティブな意味で受け取られることが多くなりました。10年以上前は新卒採用がほぼ唯一の入社経路であった大企業でさえ、現在は採用の半数近くをキャリア採用が占めるということも珍しくありません。企業向けまたは転職希望者向けの転職サービスの広告を目にする機会も非常に増えました。
このような人材流動化のトレンドもあり、戦略的な人材獲得を担う「タレントアクイジション(TA)」組織が注目されはじめています。
人材獲得の役割を担うことから、TA組織は「採用チーム・採用担当」と説明されがちで、「戦略人事」化を目指す企業では自社の採用課を「TA」「タレントアクイジション」へと名称変更している例もあります。しかし、TA組織は採用チームとは役割の範囲や内容が異なりますし、TAは単に採用を行うことではありません。
TA組織の役割やTAの意義を明らかにするため、まずは日本企業の採用チームが抱える潜在的課題を考えてみます。
【注記】
本稿での外部採用活動は「キャリア採用」に限定しています。「新卒一括採用」としては当てはまらない話を含むことをご了承ください。
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籔本 レオ(ヤブモト レオ)
ワークデイ株式会社 チーフHRストラテジスト。
外資系コンサルティングファームにて、HRトランスフォーメーションを中心とした人事領域のコンサルティングに従事。その後、 事業会社(日本企業)に移り、人事部門の立場から戦略的なHRオペレーティングモデルへの変革をリード。Workdayに入社する前は、外資系ソフトウェア企業にて...※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

