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デザイン経営とHR戦略 | 第6回

デザイン経営の核心を担うHR——次世代の経営エクセレンスを牽引する「組織のデザイナー」へ

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HRこそが、次世代の経営エクセレンスを牽引する

 これまでの産業社会において、経営のエクセレンス(卓越性)を牽引してきたのは、ある時代には生産管理部門であり、別の時代には財務部門であり、そしてまたある時代はマーケティング部門でした。

 しかし私は、これからの時代の経営エクセレンスを牽引するのは、間違いなくHR部門であり、HRパーソンであることを、ここで断言したいと思います。

 なぜなら、これからの経営課題であるイノベーションの創出、パーパスの浸透、エンゲージメントの向上、DE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の推進などはすべて、人間と組織に関わる「適応課題(正解のない複雑な課題)」だからです。これらの課題に対し、人間への深い洞察と、組織というシステムへの働きかけを通じて解を導き出せる専門家は、社内でHRをおいて他にありません。

 つまり、これからの「デザイン的な経営」の鍵を握る存在こそが、HRなのです。

 しかし、現状のHR部門がそのままその役割を担えるわけではありません。HRパーソン自身が、これまでの「管理部門の担当者」というセルフイメージ(慣習モード)を脱ぎ捨て、自らを「組織と人材のデザイナー」として再定義(リ・デザイン)する必要があります。

 「規則だからダメです」と言う代わりに、「どうすれば実現できるか、一緒に実験してみましょう」と言えるか。「前例がありません」と言う代わりに、「新しい前例をつくるチャンスですね」と言えるか。経営陣からの指示を待つのではなく、自らが操縦桿を握る「機中のパイロット」として、組織の進むべき未来を提言できるか。

 HRパーソン自身が、誰よりもクリエイティブで、誰よりもエフェクチュアルであること。その背中こそが、組織全体の文化を変える最初のドミノとなります。

結びに代えて:HRよ、高度価値創造人材たれ

 本連載の結論として、私はすべてのHRパーソン、そしてHRチームに心から熱いエールを送りたいと思います。

 皆さんの仕事は、事務処理や調整業務ではありません。皆さんの仕事は、「人の可能性を解き放ち、組織という生命体を輝かせ、ビジネスを通じて社会に新しい価値を届けること」です。これは、企業内において最もクリエイティブで、最も人間臭く、そして最も尊い仕事の1つです。これからぜひ、自らの存在意義、役割、能力、そして経営における位置付けを、自らの手でデザインし直していってください。

 「管理か、創造性か」「守りか、攻めか」「支援者か、牽引者か」という二元論に囚われるのではなく、それらの視点を統合し、状況に応じて臨機応変に思考・行動できることが、これからの時代に求められます。その意識変革ができたHRパーソン、そしてHRチームこそが、これからの産業界において、代替不可能な「高度価値創造人材」となり得るのです。

 デザイン経営という唯一の正解がない未知の空路をつき進むジェット機の操縦席には、HRパーソンであるあなたが座っています。

 さあ、手中の鳥(いまあるリソース)を見つめ直し、許容可能な一歩を踏み出しましょう。あなたのその小さな一歩が、組織の、そして社会の景色を変えていくはずです。

 皆さんの組織に活き活きとした創造の風が吹くことを祈念して、このあたりで本連載の筆を置きたいと思います。これまで、本連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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この記事の著者

井登 友一(イノボリ ユウイチ)

株式会社インフォバーン 取締役副社長。立命館大学経営学部教授。デザインコンサルティング企業においてUXデザインの専門事業立ち上げに参画後、2011年にインフォバーンに入社。京都支社長を務めるとともに、デザインストラテジストとして活躍。2016年よりUXデザイン/サービスデザインを中心としたイノベーションデザイン支援...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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