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2024年2月1日(木)12:00~17:40

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【特集】外国人IT人材の採用・活用 最前線 | Part 3

経済産業省に聞く「外国人IT人材の受け入れ」――来日して働きたくなる魅力を企業が高めるのが先決、国内人材の育成も並行して


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 メディアを通じて報じられているように、日本のIT人材不足は年々深刻さを増している。2016年に発表された政府の調査推計結果では、2020年には36万9000人、そして2030年には最大で78万9000人が足りなくなるという衝撃的な数値が公表された。こうした事態に対して国は、高度外国人人材の受け入れ拡大を推進。その一環として外国人IT人材の登用を支援しているという。取り組みや課題、展望について、経済産業省 商務情報政策局 地域情報化人材育成推進室長 藤岡伸嘉氏にうかがった。

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「国内での人材発掘・育成で足りない人手を海外から」が基本コンセプト

――すでに国では経済産業省(以下、経産省)をはじめ、総務省や厚生労働省、法務省など、各省庁の連携のもとで、さまざまな外国人人材の受け入れ拡大に取り組んでいるとうかがっています。経済産業省の担当する範囲での現状などをお聞かせいただけますか。

藤岡伸嘉氏(以下、藤岡):経産省の重要な施策の1つにIT人材の育成がありますが、まずは国内のIT人材をどう育成するかが重要な課題です。その上で日本のイノベーションに資するもしくは人材不足を補える外国人の人材を受け入れていくというのが、基本的な考え方です。

 そうした観点から、国内では若手育成など、さまざまな施策を実施してきています。例えば、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)における「未踏IT人材発掘・育成事業」があります。いままで見たこともない“未踏的”なアイデア・技術を持つ“突出した人材”を発掘・育成する事業で、イノベーションを創出できる極めて高い能力を持った人材を育てる試みです。2000年の事業開始以降、これまでの間に約1700人を育成しています。この他、IPAの行う「セキュリティ・キャンプ」は、高度化・複雑化するサイバー攻撃に対処できる若いセキュリティ人材の発掘と育成を目指して2004年から毎年開催され、これまで663名の修了生を送り出してきました。

藤岡 伸嘉氏
藤岡 伸嘉(ふじおか・のぶよし)氏
経済産業省 商務情報政策局 地域情報化人材育成推進室長。
昭和61年通商産業省入省。商務流通グループ消費者相談室長、資源エネルギー庁核燃料サイクル産業立地対策室長、中小企業庁経営支援課企画官(人材担当)を経て平成28年6月から現職。情報処理安全確保支援士制度、情報処理技術者試験、ITスキル標準(ITSS+を含む)、セキュリティ・キャンプ等IT人材育成施策に従事中。

――もはや国内にリソースがないから海外のIT人材を求めるのではなくて、国内での発掘・育成を推進してなお足りない部分に、外国人IT人材の力を借りるというシナリオなのですね。

藤岡:若者だけではありません。国内では2017年から「第4次産業革命スキル習得講座認定制度」を創設し、既存の技術者の学び直しとして、IT・データ分野を中心とした専門的かつ実践的な教育訓練講座を展開しています。今後は、AI、IoT、ビッグデータ、データサイエンスなどの人材、第4次産業革命を実践していくための人材を育成していくことに力点が置かれていくことになるでしょう。

――それだけの国内人材に対する手厚い発掘・育成事業を行っても、全体の需要に対する数としてはまだまだ及ばないのですか。

藤岡:背景には我が国の少子高齢化という大きな要因があり、この影響はIT業界だけでなく、あらゆる業種で確実に影響を及ぼし始めています。様々な業種・業態に起こっている人材不足を補うために、外国人の人材をいかに呼び込むべきかという論議が根本にあり、政府による高度外国人材の受入れ政策もそこから生まれてきました。

アジア主要国で「情報処理技術者試験」による資格の相互認証を実現

――一方、外国人IT人材に対する取り組みの現状や成果は、どんな状況でしょうか。

藤岡:最も大きな取り組みとしては、IPAが支援している「アジアの情報処理技術者試験」が挙げられます。これはすでに50年にわたって実施されてきた日本の「情報処理技術者試験」の経験やノウハウを生かして、アジア地域でのIT技術者育成を支援すると共に、そうした人材リソースをお互いに有効活用しようというものです。

 平成12年(2000年)10月のASEAN+日・中・韓 経済閣僚会合で日本が提唱し、採択されました。現在11か国が参加していますが、ここで認定された資格は相互認証されるので、日本において有資格者として活動できます。現在、全体で年間約1万名弱が受験しています。

IPAによる「アジアの情報処理技術者試験」

 上表の5か国では各国独自の試験内容が実施され、合格者の資格は相互に認証される。下表の6か国はまだ自国での試験体制が整っていないため、日本の情報処理技術者試験問題を英訳した問題を使って、「アジア共通統一試験(ITPEC)」として実施されている。さらに詳しい情報は、IPAのWebサイトで見ることができる。

国・地域 試験実施機関 試験区分
インド National Institute of Electronics & Information Technology(NIELIT)linco FE, AP, SA
シンガポール Singapore Computer Society(SCS)linco PM
韓国 Human Resources Development Service of Korea(HRD Korea)linco FE, AP
中国 Education & Examination Center of MIIT, PRC(CEIAEC)linco FE, AP, DB, NW, SA, PM
台湾 Institute for Information Industry(III)linco, Computer Skills Foundation(CSF)linco AP, NW, SC
国・地域 試験実施機関 試験区分
フィリピン Philippine National IT Standards Foundation Inc(PhilNITS)linco IP, FE, AP
タイ National Science and Technology Development Agency(NSTDA)linco IP, FE, AP
ベトナム Vietnam Training and Examination Center(VITEC)linco IP, FE, AP
ミャンマー Myanmar Computer Federation(MCF)linco IP, FE, AP
モンゴル National IT Park(NITP)linco IP, FE, AP
バングラデシュ Bangladesh Computer Council(BCC)linco IP, FE, (AP)

【試験区分】 FE=基本情報技術者試験, AP=応用情報技術者試験, SA=システムアーキテクト試験, PM=プロジェクトマネージャ試験, NW=ネットワークスペシャリスト試験, DB=データベーススペシャリスト試験, SC=情報処理安全確保支援士試験, IP=ITパスポート試験

――試験制度は若手人材の育成に有効ですが、すでに技術や経験を持っているエンジニア層を呼び込むには、どのような工夫をしていますか。

藤岡:そちらについては法務省入国管理局が、「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」を設けています[1]。これはIT分野だけに限らず、高度な学術研究や技術、経営・管理に関する能力や学歴、実務経験などを細かく分類した上で、該当するスキルや資格に応じてポイントを付与するというものです。

――その人の能力を点数化して、得点数に応じた優遇を行うわけですね。

藤岡:各項目の得点合計が70点以上であれば“合格”として、「高度専門職1号」に認定され優遇の対象になります。さらに1号として3年以上活動し、認められると「高度専門職2号」になれて、ほぼ制約なく自由に活動できるようになります。優遇内容としては、在留資格の緩和や申請から認可までの期間短縮、永住許可要件の緩和、また家族を呼び寄せられるといった特典項目があります。

[1]: 「高度人材ポイント制による出入国管理上の優遇制度」の詳しい内容は、法務省入国管理局のWebサイトを参照。

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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学...

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