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HR Techのこころ | #3

CYDAS――「放置された宝の山」人材データの見直し・掘り起こしをやさしくし、イノベーションや売上拡大につなげる


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 ワークスタイルの変化や少子化の中で、人材情報をいかに自社の成長の原動力に変えていくかが問われている。「管理するだけの人事から、適材適所の人材マネジメントへ」をうたい、国内の大手企業を中心に大きなシェアを持つ人材データプラットフォーム「CYDAS」を提供する、株式会社サイダス 代表取締役の松田晋氏に、人材データ活用のヒントをうかがった。

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人事の課題解決にはデータに裏付けられた対応が不可欠

――CYDASを利用している企業が抱えている人事の悩み・課題は何でしょうか。

 当社のユーザーには大手企業が多いのですが、「自社で働いている人の情報がないこと」が問題になっています。もちろん、入社時に登録された基礎情報はあります。しかし、人事に関して何か施策を打とうとしたときに、判断材料として使えるデータがないのです。

 たとえば、残業が多いかどうかは勤怠管理システムを見ればわかりますが、そこで多くの会社は単純に「では残業を減らせ」「一斉退社日を設けよう」といった対応になりがちです。しかし、それでは仕事自体は減らないので、他のどこかにしわ寄せが来るだけです。

 本当に残業を減らそうと思うなら、「そもそもなぜ残業が必要なのか」という業務の課題から明らかにしなくてはなりません。ところが、そのためのデータがないのです。そして、「集めようとしてもどうしていいかわからない」というのが、大手企業の人事担当者に共通する悩みになっています。

松田 晋氏
松田 晋(まつだ・しん)氏
株式会社サイダス 代表取締役。
大塚商会入社。その後、人事や組織に関するコンサルティング事業を主力に据えた会社の設立を経て、人材情報を定量化する必要性を感じて単身渡米し、最先端のタレントマネジメントシステムを研究。2011年10月、株式会社サイダスを設立し、日本の企業に適した独自のタレントマネジメントシステムを開発。現在もお客様の生の声を聞いてまわり、製品に反映させ続けている。

――原因究明をしようにも、その元になる事実、つまりデータがなければ動けませんね。

 人の情報がないということは、適材適所の配置ができないということでもあります。新事業を立ち上げるときなども、目的にあった人材が社内のどこかにいるはずなのに、わからない。結局知っている顔ぶれから担当者を指名してしまう。本当は適任の人が手がけるほうが効率も上がるし、その社員自身のモチベーションアップにもなるのに、お互いにもったいない。

 同じ仕事をいつも同じ人に頼むという傾向も見えます。そのほうが早くて安心なのはわかりますが、人材育成の観点からは問題です。頼まれない人はいつまでも新しいスキルや経験を得られず、頼まれる人との格差が広がるばかりです。

――多少の手戻りや質の問題は人材育成のコストの内と考えて、あえてふだんとは違う人を起用する覚悟がマネージャーには求められてきますね。

 よく「イノベーション人材が欲しい」と言われますが、イノベーション人材というのは教育して育つものではありません。また、成長企業の経営陣は、若いころに修羅場をくぐってきた人が多い。異動経験も多く、肌身で感じ取ってきたさまざまな経験が、経営の実力になっているのです。だからこそ、多少の失敗は覚悟の上で、社内の人材には実際に経験させなくてはならない。成長している会社の経営陣や人事担当者は、そこを意識的に実践しています。

――適任者を探す、経験を積ませるべき人材を見つけるといっても、全国展開や多店舗展開している企業では、どこにどんな人がいるかを把握するだけでも大変です。

 マネージャーの視野を越えて潜在的なマンパワーを見える化するには、人材のデータを的確に管理するツールが不可欠です。当社の「CYDAS HR Profile Manager」はいわばそのためのデータベース機能を提供するアプリケーションで、社員の顔や名前はもちろん、スキルや経歴、過去の評価などを一元化し、一目で検索・把握できるため、目的に応じた人材をすぐに発見できます。

――これまでデータの可視化というのは、専門知識を持ったスタッフがいない企業にとっては、なかなかハードルの高いテーマでした。

 今まで、企業の人材データというのは、ほとんどが蓄積されたままの「宝の山」でした。しかし、それらを生きたデータにするのに、専門家をわざわざ雇うのは大きな負担です。余計なコストをかけずに誰でも簡単にそのハードルを乗り越えられる仕組みを提供したいというのが、Profile Managerを開発したそもそもの狙いでした。

「CYDAS HR Profile Manager」のタイムライン画面
「CYDAS HR Profile Manager」のタイムライン画面
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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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