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ITサービス人材 育成テキスト | 第1回

サービス改革を阻む6つの壁と、ITサービス人材の育成で見直すべき3つのポイント


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 これまでIT企業は「作って納める」いわばメーカーに似た収益モデルで経営される部分が少なくありませんでした。しかし、クラウドの登場と普及がこのモデルを壊しました。ユーザー企業とともに価値を創造していくサービス事業を収益モデルとしなければ、今後生き残れないでしょう。問題はそうしたビジネスに対応できる人材がいないことです。本連載では、IT事業をサービスとして提供・展開できる人材をどうすれば育成できるかを解説します。

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IT事業のサービス化と立ちはだかる6つの壁

 サービスの競争力強化や生産性向上、モノからコトへ、製造業のサービス化、6次産業化など、「サービス」が事業の競争力や成長力そのものといえる時代になりました。「我々はサービス業である」と自社ビジネスを捉え直すことで、事業変革を進める企業も増えています。

 いまや、IT企業もサービス業です。それにもかかわらず、サービスの本質を組織で共通認識することなく、個人的な経験やセンスに頼り切ってサービス事業を推進している企業が実に多いものです。例えば、最新のテクノロジーの紹介や、何ができるソリューションなのかを説明できても、どんな期待に応えるサービスなのかを説明できない。あるいは、品質やリスク管理を徹底して社内プロセスを重視するあまり、顧客と一緒になってサービスを創り上げるプロセスがおろそかになっている――先の読めない変化の時代に、これはあまりに無謀です。

 また多くのIT企業では、クライアントのビジネスパートナーとして選ばれ続けることを目指していると思います。そうであればなおのこと、サービスの本質を理解せずして、サービス競争にさらされるクライアントのパートナーにはなれないと心得るべきです。「これまでの延長線上のビジネスではもう立ちゆかなくなる」と気が付いたなら、自社のビジネス、サービスを変革しなければなりません。

 とはいえ、今までのやり方や考え方を変えることは簡単ではありません。これまで様々な業界のサービス改革を支援してきた経験から、6つの壁があることがわかっています。これら6つの壁の乗り越え方を理解しているのか、闇雲に取り組むのかで、ITサービス事業の変革の成果は大きく変わってきます。

 6つの壁は次のとおりです。本連載では次回から、これらを乗り越える方法やポイントを解説していきます。

建前の壁|なぜサービスの変革に取り組むのかピンとこない

 「忙しい、人がいない、面倒くさい」――サービス事業の変革に取り組むと、こんな声が聞こえてきます。IT企業にはサービスを接客やアフターサービス、コールセンター業務のことだと、狭く捉えているところがあります。さらには、「サービスは本業とは別の仕事」というような意識が垣間見えることすらあります。この意識では、「サービスの変革だ!」と言われたところで、ピンときません。様々な産業がサービス化している今の時代、自分たちの本業そのものをサービスだと捉えられるかどうかで、大きな差がつき始めています。

顧客不在の壁|何をやっても顧客に響かない

 「いいサービスは喜ばれるに決まっている」という思い込みでサービスを提供している企業がたくさんあります。「ITの最新技術を導入できます!」「他社にはないITソリューションです!」と。しかしその実態は、サービス提供者側の思いや都合を一方的に押し付けているだけで、顧客に響いていないことが少なくありません。これでは、いくら良かれと思って提供したことであっても、もはや「サービス」とはいえません。何をやっても顧客に響かないのは当然の結果といえます。

闇雲の壁|何から手をつけたらいいかわからない

 往々にしていざサービス変革に取り組もうとしても、何から手を付けたらよいかわからず、いきなり壁にぶつかります。とにかく何か始めなければと、スローガンを掲げただけで現場に丸投げしてしまうこともしばしば。現場も熱心に取り組むのですが、やはり闇雲な取り組みでは活動が前進しません。

実行の壁|プランを描いても行動が変わらない

 サービスには「顧客と一緒に作るもの」という極めて重要な特徴があります。つまり、サービス変革のプランが描けても、現場の一人ひとりがサービスを顧客と一緒に作るという意識を持ち行動を変えられなければ、それは絵に描いた餅に過ぎません。

継続の壁|いつも取り組みが長続きしない

 「いろんなプロジェクトが立ち上がっては消えていく。どうせ今回もうまくいかないでしょ」――当初は盛り上がるものの、しばらくすると忙しさに負けて、活動のモチベーションが低下することはよくあります。この「継続の壁」をいかにして乗り越えるかは、変革を成功させるために極めて重要な課題です。時間とともに成果も仲間も増えて、継続する力が大きくなっていくような取り組みにしなければなりません。

情熱の壁|そもそも推進者自身は本気なのか

 周囲はクールに見ています、変革に取り組むメンバーの本気度を。取り組みを進める中で、メンバーの本気度が高まらなければ、壁を乗り越え、周囲を味方に付けて、大きな変革を成功に導くことはできません。そこで重要なのが、変革に対する「ビジョン、危機感、使命感」です。これら3点セットを明確にすることが、壁を乗り越える原動力になるはずです。

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この記事の著者

松井 拓己(マツイ タクミ)

松井サービスコンサルティング 代表(サービスサイエンティスト) 1981年、岐阜県生まれ。サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業の支援実績を有する。国や自治体、業界団体の支援や外部委員も兼務。数少ないサービスの専門家として、メディア取材も受けている。製造業の事業開発プロジェクトリーダー、平均62歳170名が集うコンサルティング会社の副社長を経て、現職。 主な著書『日本の優れたサービス~選ばれ続ける6つのポイント~

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://hrzine.jp/article/detail/1211 2019/05/23 16:56

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