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インタビュー | 大手ベンダーも変わる

FUJITSU Agile Labで顧客企業とともに開発の内製化・アジャイル化を目指す――富士通 福井伸彦氏、春日理氏

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 富士通は昨年10月、米Pivotal Labsとの業務提携により「FUJITSU Agile Lab」を立ち上げた。同Labは、富士通としてアジャイル開発の実績を重ねていく拠点であるとともに、共同開発を通じてグループ企業やパートナー企業、顧客企業にアジャイル開発を学び取ってもらう場でもある。同社がこの取り組みを進める背景やねらいは何か。FUJITSU Agile Labの責任者を務める福井伸彦氏と、同Labでコーチ役を務める春日理氏に話を聞いた。

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富士通内のアジャイル普及を担うフラッグシップ

――FUJITSU Agile Labが提供しているサービスについて教えてください。

福井伸彦氏(以下、福井):基本的には、米Pivotal Labsが提供しているサービスをこちらに持ってきた形です。お客様は3〜4か月間、私どもとチームを組み、アジャイル手法で一緒にアプリケーションを開発しながら、そのやり方を学びます[1]。チームはプロダクトマネージャーとデザイナー、エンジニアという3つの役割で構成され、お客様と弊社からそれぞれメンバーを出し合い、ペアを組んで各役割を遂行します。場合によっては、チームに弊社のアカウントSE(業種ごとの開発担当SE)も参加します。

 また、FUJITSU Agile Labでは学び終わった後も、編成したチームを中核として、お客様の社内でアジャイルチームをどんどん増やしていくお手伝いをします。

福井 伸彦氏
福井 伸彦(ふくい・のぶひこ)氏
富士通株式会社 デジタルフロント事業本部 デジタルコンピテンスセンター アジャイルビジネス開発部 マネージャー。
2000年入社。主に外販されるソフトウェアサービス・ソフトウェアプロダクトの開発プロジェクトにおいて開発者・プロジェクトマネージャー・製品企画・プリセールスと多岐にわたる役割での経験を持つ。2018年4月より富士通社内におけるアジャイル開発のビジネス化促進、パートナー企業(Pivotal社)とのアライアンスを担当。

――アカウントSEはどの役割を担うのですか。

福井:デザイナーやエンジニアです。日本企業との開発では、プロダクトマネージャーはお客様が担当し、実際に手を動かしたり設計したりするところはベンダーが担当するというケースが多いと思います。アジャイルになっても、そういう形態が多いですね。

――FUJITSU Agile Labは、富士通社内にもアジャイルを普及させる役割を担うのですか。

福井:そうですね。1つのフラッグシップみたいな形で、社内に対してもアジャイル開発にシフトしていくことを示す場所にもなります。

 富士通はこれまでウォーターフォール開発一辺倒でやってきました。アジャイル開発も部分的には導入しているのですが、なかなか変われなかった。ですので、Pivotal Labsと組んで立ち上げたFUJITSU Agile Labを通じて、外に対しても内に対しても富士通は変わっていくというメッセージを出しています。

 また、我々は社内にアジャイル開発者の認定制度を持っています。FUJITSU Agile Labを卒業した人だけではなく、アジャイル開発を経験しているメンバーを認定していき、お客様に対して「これくらいの経験を持った人間が今回、プロジェクトに入っています」と示すようにしています。

――春日さんはFUJITSU Agile Labに移る前、どういったポジションで仕事をされていましたか。

春日理氏(以下、春日):ずっとミドルウェアの開発をやっていました。「Interstage List Creator」や「Interstage List Works」という製品の担当です。

春日 理氏
春日 理(かすが・おさむ)氏
富士通株式会社 デジタルフロント事業本部 デジタルコンピテンスセンター アジャイルビジネス開発部 マネージャー。
2003年入社。ミドルウェア(Interstage List Creator、Interstage Lis Works)の開発を担当。2015年よりFujitsu Cloud Service Print Anywhereの企画/開発において、アジャイル開発を実践。現在は、FUJITSU Agile Labにおいてお客様を含めたチーム立ち上げにコーチの立場で参画中。

――今回はFUJITSU Agile Labの立ち上げに抜擢された形ですか。

春日:私自身、ユーザーの声をプロダクトにスピーディに反映できないことに課題を感じており、アジャイル開発に興味を持っていたのです。また、もっとお客様の声を聞きたいとも思っていました。そこで部内で推薦してもらい、このLabに参加することになりました。

――Pivotal Labsには勉強に行かれたのですか。

春日:はい。4か月間お世話になり、1つのプロダクトを開発しました。

――いかがでしたか。

春日:短いサイクルでプロダクトを作り、ユーザーからのフィードバックをどんどん反映していく。その部分がウォーターフォール的な開発とは対極にあり、自分の目指すものに近いと思って魅力を感じました。

――その時のチームは何名だったのですか。

春日:6名です。富士通から3名、Pivotal Labsからも3名です。プロダクトマネージャー、エンジニア、デザイナーが各1名ずつという構成です。

――今はPivotal Labsに行った3名がメンター役となって、社内のメンバーに対してコーチをしているのですか。

春日:そうですね。一緒にやりながら新しいメンバーが学び、慣れたところで新しいメンバーが自らやってみるという形を取っています。そうやってスキルをどんどん広めていっています。

[1]: Pivotal Labsが提供しているサービスの詳細は、こちらの記事をご覧ください。

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この記事の著者

市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

八鍬 悟志(ヤクワ サトシ)

都内の出版社に12年勤めたのちフリーランス・ライターへ。得意ジャンルは労働者の実像に迫るルポルタージュと国内外の紀行文。特にヒンドゥ教の修行僧であるサドゥを追いかけたルポルタージュと、八重山諸島を描いた紀行文には定評がある。20年かけて日本百名山の制覇を目指しているほか、国内外を走るサイクリストとし...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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