富士通内のアジャイル普及を担うフラッグシップ
――FUJITSU Agile Labが提供しているサービスについて教えてください。
福井伸彦氏(以下、福井):基本的には、米Pivotal Labsが提供しているサービスをこちらに持ってきた形です。お客様は3〜4か月間、私どもとチームを組み、アジャイル手法で一緒にアプリケーションを開発しながら、そのやり方を学びます[1]。チームはプロダクトマネージャーとデザイナー、エンジニアという3つの役割で構成され、お客様と弊社からそれぞれメンバーを出し合い、ペアを組んで各役割を遂行します。場合によっては、チームに弊社のアカウントSE(業種ごとの開発担当SE)も参加します。
また、FUJITSU Agile Labでは学び終わった後も、編成したチームを中核として、お客様の社内でアジャイルチームをどんどん増やしていくお手伝いをします。
――アカウントSEはどの役割を担うのですか。
福井:デザイナーやエンジニアです。日本企業との開発では、プロダクトマネージャーはお客様が担当し、実際に手を動かしたり設計したりするところはベンダーが担当するというケースが多いと思います。アジャイルになっても、そういう形態が多いですね。
――FUJITSU Agile Labは、富士通社内にもアジャイルを普及させる役割を担うのですか。
福井:そうですね。1つのフラッグシップみたいな形で、社内に対してもアジャイル開発にシフトしていくことを示す場所にもなります。
富士通はこれまでウォーターフォール開発一辺倒でやってきました。アジャイル開発も部分的には導入しているのですが、なかなか変われなかった。ですので、Pivotal Labsと組んで立ち上げたFUJITSU Agile Labを通じて、外に対しても内に対しても富士通は変わっていくというメッセージを出しています。
また、我々は社内にアジャイル開発者の認定制度を持っています。FUJITSU Agile Labを卒業した人だけではなく、アジャイル開発を経験しているメンバーを認定していき、お客様に対して「これくらいの経験を持った人間が今回、プロジェクトに入っています」と示すようにしています。
――春日さんはFUJITSU Agile Labに移る前、どういったポジションで仕事をされていましたか。
春日理氏(以下、春日):ずっとミドルウェアの開発をやっていました。「Interstage List Creator」や「Interstage List Works」という製品の担当です。
――今回はFUJITSU Agile Labの立ち上げに抜擢された形ですか。
春日:私自身、ユーザーの声をプロダクトにスピーディに反映できないことに課題を感じており、アジャイル開発に興味を持っていたのです。また、もっとお客様の声を聞きたいとも思っていました。そこで部内で推薦してもらい、このLabに参加することになりました。
――Pivotal Labsには勉強に行かれたのですか。
春日:はい。4か月間お世話になり、1つのプロダクトを開発しました。
――いかがでしたか。
春日:短いサイクルでプロダクトを作り、ユーザーからのフィードバックをどんどん反映していく。その部分がウォーターフォール的な開発とは対極にあり、自分の目指すものに近いと思って魅力を感じました。
――その時のチームは何名だったのですか。
春日:6名です。富士通から3名、Pivotal Labsからも3名です。プロダクトマネージャー、エンジニア、デザイナーが各1名ずつという構成です。
――今はPivotal Labsに行った3名がメンター役となって、社内のメンバーに対してコーチをしているのですか。
春日:そうですね。一緒にやりながら新しいメンバーが学び、慣れたところで新しいメンバーが自らやってみるという形を取っています。そうやってスキルをどんどん広めていっています。