「科学的なアプローチによる採用管理」が開発コンセプト
――SONAR ATSが初めてリリースされた2013年当時、まだ採用管理ツールも少ない中で、開発を思い立ったきっかけやねらいは何ですか。
私は2002年に大学を卒業して、採用コンサルティングの仕事に就きました。その後2005年に総合商社の双日に移り、そこで8年間、IT関連のビジネスを手がけたのです。双日では米国シリコンバレーに駐在して現地の最先端技術に触れ、「ITでここまでいろいろなことができる」という事実に感銘を受けました。その前にいた採用業界はまだまだアナログな仕事が多く、ならばそこにITを持ち込んだら新しい価値が創造できるのではと気づいたのです。それが2013年の、イグナイトアイの設立につながりました。
一口に採用といってもいくつかのプロセスがあり、①経営方針に沿った採用目標の設定 ②求める人物像の定義 ③採用コンセプトの策定という前段階を経て、④応募以降のプロセスマネジメント=面接を何回行うとか、選考途中でどんな対応をするといった一連の過程の管理に入ります。私たちがSONAR ATSでサポートするのは、④の「プロセスマネジメント」の部分です。
しかし、これまでプロセスマネジメントの部分は採用担当者の個人的な経験や勘に頼っており、科学的なアプローチがほとんどなされていませんでした。そこに着目してテクノロジーを積極的に導入したのがSONAR ATSの最大の特徴であり、開発コンセプトなのです。
――「科学的なアプローチ」というのは、具体的にはどのようなことですか。
採用プロセスの「目標設定→計画立案→募集→選考→入社」という大枠の流れそのものは、どこの企業でも変わりません。しかしその中身は、会社ごとに千差万別です。まず経営方針が違えば、おのずと採用コンセプトやポリシー、そして面接や選考方法も変わってきます。
ところが、SONAR ATSを開発した2013年頃の他社の採用管理システムは、ツールが提供しているプロセスにユーザーが合わせなくてはならないものがほとんどでした。それでは採用プロセスでの差別化が難しくなってしまいます。そこで当社では、その時点で使える限りの最新テクノロジーを駆使して、フロー図での管理やデータに基づく実行判断、処理の自動化といった機能をツールに盛り込み、「会社ごとに最適化された採用プロセス」を構築できる製品を開発しようと考えたのです。