リードエンジニアはなぜ必要か
――御社でリードエンジニアの設置に至った経緯を教えてください。
小出幸典(以下、小出):理由は4つあります。1つめは、組織のマネジメントに重きを置いたエンジニアリングマネージャーとは別のルートを作りたかった、つまり技術力を武器にキャリアアップできるパスを作りたかったこと。2つめは、若手のエンジニアにとって、見本となるような姿を見せてほしかったこと。3つめは、エンジニアリングマネージャーと役割分担をしながら、対等な関係で相談できるポジションを設定したかったこと。そして4つめは、CTOの仕事を委譲することで、各プロダクトチームが自立して前に進めるようにしたかったことです。
――小出さんおひとりですべてのチームの指揮を執るには、限界が来たということですか。
小出:そうですね。プロダクトごとにエンジニアチームがあるので、プロダクトが増えるにつれ、それぞれのエンジニアチーム内のことやプロダクトの技術的なことを細部まで見るのは難しくなっていました。将来を見据え、スケールする組織にするためには、僕の仕事を委譲できる存在が必要でした。
――なるほど。では現在、CTOの小出さんと、VPoEの加藤さんの役割分担は、どのようにされているのか、および新設されたリードエンジニアと、既存のエンジニアリングマネージャーの違いについて、教えていただけますか。
加藤慶一氏(以下、加藤):CTOが技術にフォーカスして責任を持っているのに対し、VPoEはエンジニアのピープルマネジメントやチームビルディングといったマネジメントを担っています。これに対し、リードエンジニアは“ミニCTO”、エンジニアリングマネージャーは“ミニVPoE”のようなイメージですね。
――リードエンジニアのミッションを具体的に挙げるとすれば、何でしょう?
加藤:まずは各チームの技術力を底上げすること。そして未知の領域に挑戦したり、技術的負債を返済したりする際の意思決定にも関わっています。
――現在、リードエンジニアとエンジニアリングマネージャーは、何名いらっしゃいますか。
加藤:リードエンジニア、エンジニアリングマネージャーは合わせて15名ほど在籍しています。現状は、すべてのチームにリードエンジニアを置いているわけではありません。
――今後はすべてのチームに設置されたいですか。
加藤:それが理想ではありますね。
――そもそも御社ではリードエンジニアのキャリアを目指したいというニーズが現場にあったのでしょうか。
小出:そうですね。従来のエンジニアリングマネージャーには、高い技術力に加え、チームマネジメントやプロジェクトマネジメント、ピープルマネジメントなど、非常に多くの素養が求められていました。しかし、エンジニアの中には、「技術力を武器に成長したい」という意思を持ったメンバーが多かったと思います。