本記事の前編はこちらから。
藤澤 優(ふじさわ まさる)氏
パーソルホールディングス株式会社
大阪大学大学院人間科学研究科修了。前職はマーケティングリサーチ会社でリサーチャーとしてデータの収集・分析業務に従事。その後、パーソルホールディングスに中途入社し、人事におけるデータ活用促進や経営幹部層のサクセッションプラン企画・運用にも従事。調査が好き。ハンドボール好き。海外ドラマ好き。
鹿内 学(しかうち まなぶ)氏
博士(理学)。株式会社シンギュレイト 代表
働く中でのコミュニケーション・データから関係性に注目した次世代ピープルアナリティクスにとりくむ。代表を務めるシンギュレイトでは1 on 1や会議で利用できる可視化ツールを提供中。働く組織の科学と実用をめざす。情報量規準が好き、サッカー好き、漫画好き。
マーケティングリサーチから人事へ
鹿内学氏(以下、鹿内):前編では藤澤さんたちのチームの仕事内容の一部を紹介してもらいましたが、改めて藤澤さん自身のことを聞かせてもらえますか。
藤澤優氏(以下、藤澤):2017年11月に入社し、人事の仕事をするようになって3年目になります。前職ではマーケティングリサーチの仕事をしていたので、人事の仕事をするようになったのはパーソルに来てからです。大学院時代はコミュニケーション論や社会調査を勉強していました。ネットの炎上の研究を行い、調査設計や分析の基本的な知識はその頃に身に付けました。
鹿内:ピープルアナリティクスという仕事は、まだあまり知られていないように思います。転職のきっかけは何だったのでしょうか。
藤澤:今の仕事は実はdoda(グループ会社のパーソルキャリアが運営している転職情報サイト)に登録していて、キャリアアドバイザーから紹介されたものです。前職はマーケティングでしたが、人を科学し、幸せにするような仕事をしたいと伝えていたことが人事への転身のきっかけになりました。最初は人事でデータ分析ができるのかと意外に思いましたが、当時からパーソルの人事はデータをためて意思決定をしたいというモチベーションが高かったこともあり、比較的進んだ環境だったと思います。
鹿内:面白い経緯ですね。転職活動を通じて、知らなかった職業と出会えたわけですね。当時はピープルアナリティクスの組織を立ち上げた頃だと記憶しています。逆に大変だと思ったことはありますか。
藤澤:データをデータベースで管理していなかったことです。人事が持っているデータはファイルが中心で、スプレッドシートからデータを取り出さなくてはならないことはカルチャーショックでした。分析用に作ったデータではないので、データクリーニングにも手間がかかります。「処理が大変だった」で終わらせるのではなく、提供してくれた人たちに「こんなデータ管理をしてもらえれば活用につながる」と伝えるようにしています。
鹿内:比較的先行しているパーソルでもその状態だとすると、これからピープルアナリティクスに取り組む企業も同じ問題に直面しそうです。自分たちの生産性向上には、他の人を巻き込むことも必要になりますね。その他、人事のデータならではの特徴として気づいたことはありますか。
藤澤:2つあって、1つはビッグデータデータにはならないこと。もう1つは組織の統廃合や制度の変更などがあるとデータの連続性が失われるため、分析時や解釈時には注意が必要になることです。