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編集長対談 | デジタル労務管理(AD)

量も重要度も増してきたバックオフィス業務、限られた人材でいかに回していくかは企業の喫緊の課題に

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 業務のデジタル化が一筋縄ではいかないのが企業のバックオフィス(人事・総務・経理などの管理部門)。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅勤務・テレワークが次々と導入される中、出社を余儀なくされたバックオフィスは少なくないようだ。しかし、テレワークが定常化する流れのWith/Afterコロナ時代では、バックオフィスの業務もデジタル化を加速していく必要があるだろう。本記事では、バックオフィス業務のデジタル化にまつわる課題とソリューションについて、クラウド型労務・人事管理システム「オフィスステーション」を提供する株式会社エフアンドエムでオフィスステーション事業本部 本部長を務める渡辺尚人氏と、HRzine編集長 市古明典が語り合った。

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コロナ禍で浮き彫りになった課題

市古明典(以下、市古):この数か月、どの企業もコロナ禍のためにテレワークの実施を迫られたわけですが、働き方改革の流れの中でテレワークの準備・導入を進めていた一部の企業はスムーズに対応できた一方、大半の企業は対応に苦慮したように思います。

渡辺尚人氏(以下、渡辺):コロナ禍により、いい意味でも悪い意味でも、日本企業の状態が露呈したと思っています。既存の業務システムの多くはテレワークに対応できていないように感じますし、結局、働き方改革はコロナ禍への対応の助けにはならなかったのではないでしょうか。結果として多くの企業では、テレワークの完全実施は叶わなかったのではないかと思います。

渡辺 尚人氏
渡辺 尚人(わたなべ なおと)氏
株式会社エフアンドエム オフィスステーション事業本部 本部長
2004年に新卒で入社。会計サービスのコンサルティング営業に従事した後、社会保険労務士事務所の経営支援を行う。2016年にバックオフィス業務の生産性向上に特化したクラウド型労務・人事管理システム「オフィスステーション」をリリースし、以来同サービスをけん引。オフィスステーションシリーズはリリースから4年を迎え、現在8000社以上の導入実績となる。

市古:なるほど。たしかに、働き方改革の実施においては労働時間の短縮にばかり注目が集まり、本来の目的である「多様で柔軟な働き方を選択できる社会の実現」は置き去りだったような印象です。その状況下でコロナ禍が発生してしまった。テレワークを実施できなかった企業が多いのは無理からぬことですね。

渡辺:コロナ禍はまったく想定外の出来事でした。しかし、日本はそもそも地震や台風など災害が多い土地柄です。企業はそれを前提とした労働環境の整備に努める必要があるのではないでしょうか。

 2年前、大阪を大きな台風が襲いました。そのときには当社の本社ビルが地震かと思うくらい揺れたり、外では看板が風で飛ばされたりと、とてもではないですが外に出られる状況ではなく、社員は自宅で待機せざるを得ませんでした。しかし、東日本大震災のような未曾有の大災害とは異なり、仕事が全くできないわけではない。こうした場合に備え、テレワークができる環境を整えておくことには、経営面からもメリットがあると思います。

市古:そうした働き方の実現を阻害する要因の1つが「書類とはんこ」ですよね。とりわけ、バックオフィスはこれがあるがために、オフィスに縛られてしまいます。

渡辺:縛られるというのはおっしゃるとおりですね。もちろん、はんこという習慣は、1人の担当者や1つの部署の判断で変えられるほど簡単なものではありません。しかし、今はペーパーワークを見直せるテクノロジーがありますし、企業は業務の進め方を変えるべきというのが、今回のコロナ禍における学びではないかと思います。

 問題は、社外と連携している業務です。当社が支援しているバックオフィス業務には、社会保険や労働保険の手続きがあるわけですが、手続きを行うためにはハローワークや年金事務所の窓口に行って書類を提出しなければなりません。いくら社内でテクノロジーを導入し、テレワークで業務が回る環境を構築しても、書類を持って窓口に行くことだけは変えられない。さらに、今回のコロナ禍では窓口が閉まっていて、手続きができないという事態も起こりました。ただ、このケースでも「e-Gov電子申請」を利用している企業は手続きができたわけで、テクノロジーの利用はテレワークを推進する上で重要な要素にもなっていたと思います。

HRzine編集長 市古明典
HRzine編集長 市古明典

市古:人事の業務についていえば、もう1つ課題に感じるのが業務の量の増加です。その大きな要因は採用の多様化・通年化です。中途採用が一般化したほか、採用広報の実施や、転職エージェント、リファラル、ダイレクトリクルーティングなど複数のルートで自社にマッチした人材を求めるようになった。これを従来のリソースで行おうと思うと、労務管理などの業務をかなり効率化する必要があると思います。

渡辺:そうですね。どこも人が足らない状況ですが、バックオフィスにおいても同様です。加えて、働き方改革を進める担い手でもあり、それだけでもたいへんな業務量になっています。採用においても、簡単に辞めることなく定着してもらうため、入社後には教育と即戦力化をしっかりと行うとともに、働き続けたくなるような良い会社にしていく取り組みを並行して行っていく必要があります。バックオフィスの業務は、おっしゃるように量が増えているのはもちろん、重要度も高まっているといえます。

 ただ、営業や製造といった直接部門と比較して、間接部門であるバックオフィスはなかなか投資をしてもらえません。実は当社も以前はそうでした。人事部の一番の若手が入社12年目という時期もありました。それではいけないと、今は毎年若手を入れるようにしましたが、バックオフィス業務の改革を支援する当社ですらそのような状況だったのですから、多くの企業のバックオフィスは投資をしてもらえないのも不思議ではありません。

 しかしながら、対応量も重要度も増してきたバックオフィス業務は、継続的に回していかなければなりません。限られた人材でも、業務がきちんと機能する仕組みが必要です。このことについて企業は考えていく必要があると思います。

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元は社労士向けに開発されたオフィスステーション

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタント...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事...

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