堀尾 司(ほりお つかさ)氏
株式会社All Personal 代表取締役CEO
2004年ソフトバンクBB株式会社入社。ソフトバンク通信事業3社を兼任し、営業・技術統括の組織人事責任者に従事。2012年グリー株式会社入社。人事戦略、人事制度、福利厚生、人材開発の責任者を歴任。その後スタートアップ支援や上場企業の人事顧問を歴任し、2017年6月株式会社All Personal創業。
窪田 久美(くぼた くみ)氏
株式会社ユーフォリア コーポレート部門管掌 執行役員
日本ヒューレット・パッカード(現 日本HP)で技術職、エンジニアのトレーナーを経て、楽天株式会社に入社。開発人事部門で新人エンジニアの教育、タレントマネジメント導入、海外新卒エンジニアの教育などに従事。その後、複数のITベンチャー・スタートアップで経営企画や人事部門を起ち上げ、組織・人事責任者を兼任。現在は株式会社ユーフォリアでコーポレート部門の責任者を務める。
市古 明典(いちご あきのり)氏
株式会社翔泳社 HRzine編集長
2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」に参加。2017年7月にエンジニアの人事をテーマとする「IT人材ラボ」を立ち上げ。2020年8月に人事全領域にテーマを広げた「HRzine」をスタートさせた。
これからの人事に求められるスキル
市古明典(以下、市古):前編の「経営に資する人事」の話題では、働きやすさと働きがいの両方が重要という指摘がありました。
堀尾司(以下、堀尾):経営に資する人事とは何かを改めて整理すると、「業績を達成するために人と組織の働きやすさと働きがいを担保しながら組織を牽引するリーダー」といえるでしょう。働きやすさと働きがいの2つはそこで働く人たちの士気を高め、戦える組織にするためには不可欠な要素です。KPIを「何人を採用したか」に設定している人事もいまだ多いように見受けられますが、本来は採用した人がビジネス目標を達成できたかどうかが重要ですよね。採用した人自身も目標が達成できたからこその喜びを感じることができるわけですから。
市古:そこまでの計画を作ることが問われていると。
堀尾:本来は人事部長が作れるはずです。できていないとすると、採用と人材開発で部署が分かれているからかもしれません。人事の中には評価制度を運用するチームがあり、そのチームで従業員それぞれがどんな成果を出したかを把握しているはずです。でも分断があるが故に、計画にまで落とし込まれていないのだと思います。
市古:では、これからの人事にはどんなスキルが求められますか。
窪田久美(以下、窪田):私もそれを聞いてみたいです。マーケティングやファイナンスでは専門性を突き詰めると市場価値が上がりますが、人事の場合は労働基準法に詳しくなるなど、労務管理の専門家になる傾向があるように思います。
堀尾:実は、最近の人事の転職市場のトレンドも変化しています。最適なチーム作りは組織の成長ステージごとに異なりますから、人事部長が転職するときに「どの事業と組織の成長ステージで、どのぐらいの収益規模を達成するための組織を率いたか」を問われるようになっているのです。もう「何人を採用したか」ではありません。
窪田:人事のように閉ざされた世界で仕事をしていて、積極的に外からの情報を得ようとしないと、間違った専門性を身に付ける可能性がありますね。組織の成長ステージごとに役割が変わるのであれば、人事もそれに合わせて成長しないといけない。