既報はこちら ▶ 経済産業省、「情報処理安全確保支援士」制度を本日スタート、通称の略称は「登録セキスペ」
登録申請は随時受け付けるが、登録のタイミングは年2回
情報処理安全確保支援士(以下、支援士)として登録を行うには、次の申請書類を準備する。
- 登録申請書
- 戸籍謄本(抄本)又は住民票の写し
- 試験合格証書(コピー)
-
欠格事由(PDF)に該当していないことを確認するための書類
- 登記されていないことの証明書及び身分(身元)証明書
- 誓約書
- 登記事項等公開届出書
また、登録免許税と登録手数料を納付し、それらを納付したことを証明する書類を登録申請書に貼付して、上記書類と一緒に簡易書留でIPAに送付する。登録免許税(9000円)は収入印紙で納付。登録手数料(1万0700円)はIPA指定の銀行口座へ振り込む。
IPAは申請書類を受け取ると審査を行い、問題がなければ申請者を支援士として登録する。ただし、登録申請は随時受け付けているが、審査と登録は4月1日と10月1日の年2回しかない。しばらくは、支援士の資格がすぐ必要というケースも少ないだろうが、今後はこのタイムラグが業務に支障を来すことがあるかもしれない。くれぐれも注意したい。
なお、4月1日に登録されるのは同年1月31日(当日消印有効)までの申請、10月1日に登録されるのは同年7月31日(当日消印有効)までの申請[1]。こちらにもタイムラグがあるので併せて注意しよう。
注
[1]: 制度開始2年間の経過措置として、平成18年度以降のテクニカルエンジニア(情報セキュリティ)と情報セキュリティスペシャリスト試験の合格者も支援士として登録できるが、初回登録分と最終登録分については特別な期日が設定されている。こちらの図を参照のこと。
資格維持には1年に1回・3年に1回の講習を受講、3年間に15万円の費用
支援士の資格を維持するには、IPAが実施するサイバーセキュリティに関する有料講習を継続的に受講する義務がある。これには、日進月歩のサイバーセキュリティ分野ではスキルのアップデートが必須という背景がある。
また、IPAだけで講習を開くことは実質的に無理として、外部の研修会社などに講習を委託することになるという。集合研修の開催場所については検討中で、登録者の居住地や人数などを鑑みてこれから決めていく。
講習は「知識」「技能」「倫理」という3分野について行われる。講習の形式には次の2種類がある。
- オンライン講習:登録日を起点とし、年1回(6時間)受講
- 集合講習:登録日を起点とし、3年目に1回(6時間)受講
これを3年のサイクルで継続する。ただし、試験合格日から登録日までの期間が3年を超過している場合には、登録日を起点として1年以内にオンライン講習、集合講習の両方を受講しなければならない。講習受講義務に違反すると、登録の取り消しや資格名称の使用停止になることがある。
講習の費用は未定だが、IPAはオンライン講習が2万円、集合講習が8万円~9万円と見込んでいる。3年間ではオンライン講習を3回、集合講習を1回受講するわけだから、合計で15万円ほどが3年ごとにかかる計算になる。
個人ではやや大きな出費といえるだろう。そのため、登録を行うのは支援士の資格が業務上必要であるケースに絞られるかもしれない[2]。
注
[2]: 「支援士の登録簿をセキュリティ人材データベースにする予定はないか?」という質問に対し、藤岡氏は、そうしたニーズを把握しつつ、登録簿の利用を拡大していくことも検討していると回答。「あくまで個人的な希望だが、自分はどの分野に強いといったことを積極的にアピールしたい支援士のためにも、そうした器を用意していきたい」(藤岡氏)
試験合格の価値は支援士制度下でも変わらない
支援士試験で問われる内容は、先日の秋期試験まで行われていた「情報セキュリティスペシャリスト試験」とほとんど変わらない。また、登録に必要な条件は試験合格以外に特にはない。資格の維持に条件が付いているだけともいえる。つまり、試験合格の時点では、支援士としての登録をする/しないにかかわらず、認定される知識やスキルは同じである。
日進月歩のサイバーセキュリティ分野とはいえ、土台となる知識がまったく変わってしまうわけではない。また、試験問題は毎回アップデートされているという。「支援士として活動はしないから」「3年ごとに15万円は出せないから」といって、支援士試験の受験自体をやめるのは間違いだろう。試験に合格すれば、これまでどおり合格証が届く。これまで「セスペに合格してますよ」といって通用してきた価値は、新制度下においても変わらないのだ。