コーナーストーンオンデマンド(以下、コーナーストーン)は、AIを搭載したスキル分析エンジン「Cornerstone Skills Graph」の提供を開始することを発表した。同サービスにより、企業と従業員の「戦略的スキルアップ」(スキルを人材、ラーニングコンテンツ、ジョブに結び付けること)が可能になり、急激なビジネスの変化を予測し、変化に備え、迅速に対応することができるようになるという。
世界が急速に進化する中で、高い業績を出すためには企業と従業員は最新のニーズに素早く対応していかなければならない。つまり、企業には対応力の高い労働力、一人ひとりの従業員のスキルの把握、必要に応じたスキルの見直し、将来に向けて新たなスキルを取り入れる柔軟性が必要になる。また、従業員には、現状のスキルの把握、新たなスキルを習得するためのツール、将来への明確なステップが示されることが必要になる。
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)によると、ほとんどの企業では対応が遅れており、CEOの70%が自社にこれからの新しい仕事に対応していくためのスキルがないと考えている。また、Cornerstone People Research Lab (CPRL)の最新の調査報告書「スキルへのライセンス:スキルアップ革命の導入(A License to Skill: Embracing the Reskilling Revolution)」によると、従業員の40%が、自分が働く組織が従業員のスキルを高めていけるか不安だと答えている。
最新の調査では、コーナーストーンの全世界の顧客の88%が、最重要課題として自社においてクリティカルなスキルや能力の構築を挙げており、今回の「スキルへのライセンス(A License to Skill)」調査においても、回答者の86%が資格の有無を確認するよりもスキル査定のほうが重要であるという点に同意している。
しかし、80%の組織は依然として、従業員が持つスキルや必要なスキルの特定を口コミだけに頼っている(Human Capital InstituteおよびCornerstoneによる調査)のが実情だ。こうした組織にとっては、いかに正確で効率的な方法で、従業員の現在のスキルをマッピングし、今後必要なスキルの習得に役立てるかが課題といえる。
Cornerstone Skills Graphは多くの組織が抱えるこうした課題を解消する。コーナーストーンがスキル分析エンジン技術を持つClustree社を買収したことにより実現したこのテクノロジーは、企業のさまざまなビジネスの基幹分野でAIを活用し、戦略的スキルアップをサポートするために必要な情報を明らかにして、次のような課題に対処する。
- 今、組織にとってどのようなスキルが最も重要度が高いか理解しているか?
- 従業員が現在持っているスキルを、必要な時に必要な場所ですぐに使うにはどうすればよいか?
- 従業員の成長に必要な能力開発の機会やエンゲージメントの維持をどのように提供すればよいか?
- 会社として効果的に将来のリーダーを育成するにはどうすればよいか?
- どうすればL&Dチームの負担を大幅に増やすことなく、規模を拡大できるか?
Cornerstone Skills Graphはコーナーストーンの全製品に統合され、近い将来、さらに機能が追加される予定。これにより、顧客は次のようなことが可能になるという。
- 専門資格も含め、従業員の職種に対しスキルを自動的にマッピング
- 5万3000以上の独自のスキルライブラリで従業員のスキルを検索、編集、追加
- 上司やコーチによる従業員の現在、および習得中のスキルついての現状把握
- 新規入社の従業員に、職務に必要なスキルに基づいたラーニングコンテンツのレコメンデーションやアサインが可能
また、従業員エクスペリエンスを強化するために、次のようなことが可能になると同社では述べている。
- 履歴書をアップロードし、スキルを解析して、最適な機会とマッチング
- スキル要件を公開する求人情報に追加
- 職歴や学習によって取得した資格に基づき、従業員ごとにオンボーディングを速めるために必要なラーニングコースだけを受講可能に
- 職位や学習状況、プロジェクト、アセスメント、特性など、さまざまな要素に基づいて従業員が持っている可能性のあるスキルに自動的にタグ付け
- AIによるレコメンデーション機能で、継続的にスキルギャップ分析をし、トレーニングやアクション項目を提案
- 超パーソナライズされたキャリアナビゲーションにアクセスし、目標に到達するための具体的な行動を伴う最適な機会を模索
- スキル要件に基づき、社内での新たな機会の発見