auじぶん銀行は、全国のLGBTを含む性的マイノリティに該当しないビジネスパーソン500名(以下、LBGT非当事者)、LGBTを含む性的マイノリティに該当するビジネスパーソン500名(以下、LGBT当事者)の計1000名を対象に「LGBT当事者をとりまく就業環境の実態調査」に関するWebアンケートを実施し、その調査結果を発表した。調査期間は2020年8月25日~8月28日
最初に、LGBT非当事者のビジネスパーソンに対し、“LGBT”という言葉の意味を理解しているかを調査した。結果は、「十分に理解している(31.0%)」「なんとなく理解している(50.6%)」と合わせて81.6%の人が理解していることが分かった。一方で、意味も言葉自体も知らないという人が3.6%いることも判明した。
続いて、LGBT非当事者のビジネスパーソンにLGBTの友人や知人がいるか質問したところ、約8割の人が「いない」と回答、「いる」という人は約2割となった。その一方で、LGBTについて学びたい・知りたいかという質問に対しては、「とても思う(12.6%)」「どちらかといえば思う(37.0%)」と合わせて約半数の人が学びたい・知りたいと感じていることが分かった。
次に、勤めている会社でLGBTに対して協力的な制度や取り組みを行っているか聞いたところ、22.7%の人が「行っている」と回答、「行っていない」は48.3%。また、29.0%の人が、「分からない」と回答しており、約3人に1人の人が自分の会社の制度について把握できていないことが分かった。また、国内系企業と外資系企業で比較すると、LGBTへの支援制度や取り組みを行っている企業は、外資系企業の方が8.3%高いことが分かった。
さらに、支援制度があると答えた22.7%の人に、どんな制度が導入されているかを聞くと、最も多い回答が「お祝い金、忌引き休暇などの制度が同性パートナーでも適用される(36.6%)」。その後、「LGBTについて学ぶ研修(36.1%)」、「LGBTイベントへの参加・協賛(34.4%)」、「差別禁止の明文化(33.0%)」、「採用(29.1%)」という回答が続いた。企業としてLGBTへの理解度を高める取り組みが多い一方で、誰でもトイレや更衣室など設備面の整備は進んでいないことが分かった。
続いて、その制度や取り組みは十分だと思うか聞いたところ、「あまり十分ではない、全く十分ではない」との回答が、LGBT非当事者は13.5%に対し、LGBT当事者は32.9%と約2.4倍も高い結果となった。
LGBT当事者に対して会社に勤める際、LGBTに対する支援制度があるかを重視したか質問した結果、「重視した(5.2%)」「どちらかといえば気にした(15.4%)」を合わせて20.6%が、支援制度を重視したと回答。8割近い人が、支援制度をあまり気にしていないことが明らかになった。
その理由として、支援制度を重視している人からは、働きやすくなることや差別をなくし理解してほしいという声が多く挙げられた。その一方で、重視していない人からは、そもそも理解してもらうことを期待していないという声や、30代以降の人々にとって、自身の就職時はLGBTが社会問題になっておらず、支援制度がなかったからなどの声が多く寄せられた。
さらに、LGBT当事者の人に対し、LGBTであることで、職場で困ったことや悩みがあるかという問いには、25.6%の人が「ある」と回答した。具体的には、「いつ結婚するのか」「彼女をなぜ作らないのか」といった周りの無意識な発言によって傷ついているなど、LGBT当事者の現状が明らかとなった。
LGBT当事者を対象に、職場の同僚や上司に、自身がLGBT当事者であることをカミングアウトしているか質問したところ、「カミングアウトしている」人は17.6%と、5人に1人以下という結果にとどまった。あえてカミングアウトする必要はない、という考えはもちろん、会社や個人の理解が十分ではなく、カミングアウトしにくいといった状況も考えられる。
最後に、お金に関して問題や悩みがあるか質問した。この結果については、LGBT当事者・LGBT非当事者に大きな差異はなく、共通して約半数の人が「老後が心配」と回答した。その一方で、お金に関して問題や悩みは「特にない」との回答はLGBT当事者のほうが少なく、将来を不安視する人が多い傾向にある。「老後が心配」「遺産相続」に関する悩みも若干ではあるが、LGBT当事者がLGBT非当事者と比べると多い傾向にある。
企業によるLGBT支援制度だけではなく、自治体による同性パートナーシップ制度の取り組みも徐々に増えてきてはいるが、法的整備がされているわけではない。そういった先の見えない状況が、老後を含めた将来的な不安につながっていると考えられる。
auじぶん銀行は、今回の調査結果を受けて次のように述べている。なお、本調査の詳細な結果はプレスリリースを参照のこと。
「LGBTを含むビジネスパーソン男女を対象に調査し、約半数の人が勤める企業ではLGBTに対する協力的な制度や取り組みが行われていないことや、LGBT当事者が抱えている職場における問題や悩み、カミングアウトとアウティングの実態など、LGBTへの理解が十分にされていないことが明らかになりました。
その一方で、LGBTについて理解を深めたいと思っている人が多くいること、またLGBT当事者の方が会社に望むことは、何より多様性に対する「理解」や「意識」というキーワードが大きいことがわかりました。これは会社に対してだけではなく、社会に対して望む声としても挙がっていましたが、こうした「理解」の促進や「意識」の醸成には、何をおいてもまずは「知ること」が大切なのかもしれません」(同行)