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これからのIT人材に求められるもの | 第5回

なぜ今ITに「相手を思いやる」という考え方が大切なの? それが必要なシーンって?

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 ビジネスの根幹をなす考え方の1つに「相手を思いやる」があります。IT業界でも、相手を思いやるという考え方が改めて重要視されています。子供のころから「相手の立場になって考えなさい」なんて言われてきた人からすると当たり前すぎて、「何をいまさら……」と軽んじてしまそうですが、ITに関わる環境、特に技術者の間では、この基本的な感覚が忘れられていることが案外多いのです。しかし、それは本当にもったいないことなんです。今回は、相手を思いやるという考え方をIT技術者が取り入れるべき理由についてお話ししたいと思います。

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それはIT技術が世界を笑顔にできる時代だから

IT技術者には、当然ながら技術力が求められます。しかし、技術力だけでビジネスが成り立つわけではありません。それに、他の分野での知識や観点(目線)が、回り回って技術力の向上につながることも少なくありません。他の分野で知り合った人との関係が自分の世界を広げ、予想外の展開が始まることだってあります。機会があれば、技術以外のことも柔軟に取り入れましょう。とはいえ、技術以外に何を取り入れたらいいか分からない――。

筆者がIT技術者の方に取り入れることをまずお勧めしたいのは、相手を思いやるという考え方です。なぜかというと、誰の役⽴つのかをイメージしながらIT技術を使うことで、個人も企業も、大勢が笑顔になる世界を創れる時代に突⼊したからです。実際、IT業界でも相手を思いやるという考え方が、さまざまなところに登場しています。以降では、そうしたキーワードをいくつか紹介していきます。

プロダクトアウトとマーケットイン

「プロダクトアウト」とは、自分たちが提供する商品やサービス(プロダクト)を出発点として、「それらを販売するにはどうすればよいか」を検討していくという方向の考え方です。これの対義語として使用されるのが「マーケットイン」で、市場や顧客(マーケット)の嗜好やニーズを出発点として、それに応えるような商品やサービスを企画し販売していくという方向の考え方です。

最近では、一般的に「プロダクトアウトは古い(または間違っている)」と言われることが多いですが、どちらが正しいということはありません。マーケットが思いも付かないような新製品や、既成概念にとらわれない全く新しいコンセプトの商品やサービスを提供するには、プロダクトアウトの考え方をする必要があるでしょう。ただし、マーケットは自ら創り出していかなければなりません。

しかし、経済や技術が発展し、ある程度飽和した現代において、全く新しいものを生み出し、マーケットを創り出すという機会はめったにありません。結局、多くのビジネスシーンで活用できるマーケットインのほうが重要視される傾向にあります。

マーケットインは、相手を思いやるという考え方から始まります。

サービス

20年以上前、日本のIT業界に「サービス」という考え方が入って来ました。その最たるものは、ITILに始まるITSM(ITサービスマネジメント)です。ITILでは「サービス指向」、つまりITを単なる技術ではなくサービスとして捉え、扱うべきだという考え方を基本に置いています。

サービス指向は「顧客指向」とも呼ばれています。サービスは「顧客に価値を提供する手段[1]」であり、顧客にとって価値のないものはサービスではないというのがITILの主張です。「顧客にとっての価値が何であるかを考えることによりITを活かすことができる」のであり、これもまた、相手を思いやるという考え方に通じます。

[1]: 『ITIL 2011 edition:サービスストラテジ』より。日本語版は、NPO法人itSMF(ITサービスマネジメントフォーラムジャパン)のWebサイトで購入できます。

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この記事の著者

最上 千佳子(モガミ チカコ)

日本クイント株式会社 代表取締役社長。システムエンジニアとしてオープン系システムの提案、設計、構築、運用、利用者教育、社内教育など幅広く経験。顧客へのソリューション提供の中でITサービスマネジメントに目覚め、2008年ITサービスマネジメントやソーシングガバナンスなどの教育とコンサルティングを提供す...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://hrzine.jp/article/detail/265 2016/11/04 09:00

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