ビズリーチが運営するHRMOS WorkTech研究所は、企業の人事・採用担当者を対象に「採用活動と入社者のオンボーディング」に関するアンケートを実施し、結果を発表した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりリモートワークを実施する企業が増える中、採用活動のオンライン対応は急速に導入が進んだ。同調査では、採用だけではなく入社者のオンボーディングにおける、オンライン対応の状況やその課題を明らかにすることを目的としている。調査期間は2020年4月13日~4月15日で、有効回答数は232件。
今回の調査では、オンライン採用に対応しているという回答は約9割という結果になった。2020年4月に実施した企業の人事・採用担当者向け調査では、53%が「オンライン採用に対応中」と回答しており、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受けたこの約1年で採用活動のオンライン化が進んでいると考えられる。また、リモートワークが進んだことで、入社者のオンボーディングもオンラインで実施する企業が約7割に上ることが明らかになった。
また、約6割が入社者のオンボーディングに課題があると回答し、うち約7割が「採用した人材が、社内で人間関係を構築しやすくしたい」と考えていることが明らかになった。企業規模別に改善したい点を比較すると、企業規模が大きくなるほどに、その割合が増すことが明らかとなった。
オンボーディングの課題を解決するために、改善に向けてスタートしている取り組みについて質問すると、「配属部署内、他の部署とのオンラインコミュニケーションの体制を構築した」「リモートワークでのテキストコミュニケーションに慣れていない社員もいるという前提で、社員同士のコミュニケーション方法も入社者のオリエンテーションで触れるようにしている」「中途採用者に一律で設けていた研修プログラムを、個々のスキル等に沿ったプログラムへ変更しようとしている」「これまで受け入れ部門に任せていたオンボーディングを、新たにトレーニングチームをつくり対応するようにした」などの回答があった。
今回の調査結果を受けて、HRMOS WorkTech研究所 所長 友部博教氏は、次のように述べている。
「コロナ禍の影響を大きく受けた1年を通じて、採用のオンライン化が進む一方、入社者のオンボーディングの課題はより明らかになりました。依然として入社者の早期の立ち上がりの課題感が強く、なかでも社内での人間関係の構築は、リモート環境下では特に難度の高い対応を迫られたのではないかと予想されます。オンボーディングは、採用活動を行っている採用担当者と、入社後のオンボーディングを担当する人事部門または受け入れ部門との連携が重要です。本調査によると、約6割の企業が採用活動のKPI設定をしているものの、その指標として47%は『入社者数』で設定しており、『入社後の活躍』までをKPIとして見ている企業は15%のみという結果でした。入社者が、適切にオンボーディングして早期に活躍していくためには、採用・人事部門や入社者の受け入れ部門が一体となり、採用活動におけるゴール設定そのものを見直していく必要もあるのではないでしょうか。
また、本調査の結果では、95%の企業が、採用時の情報を人材配置やアサインメントに活用したいと回答しています。採用と育成・配置などの人事業務が縦割りになることで、情報連携や、データ連携が難しくなります。採用時と入社後の活躍までの情報を連携させ、人材活用につなげていく必要があるのではないでしょうか」(友部氏)