ピープルアナリティクスサービスを展開するアッテルは、人事担当者106名を対象に日本企業のピープルアナリティクスの現状をアンケートし、その結果を発表した。調査期間は2021年6月15日~6月21日。
ピープルアナリティクスとは、社員の人事・行動データを収集・分析して、人事業務の意思決定に活用する技術。特にアメリカで活用が進んでおり、日本でも専門部署を設立する企業が増えている。
まず、「ピープルアナリティクスという言葉と意味を知っているか」と聞いたところ、「いいえ」と答えた人事担当者は62%と、知らない人が半数を大きく超える結果となった。
さらに、「貴社でピープルアナリティクスはどのステップまで取り入れられているか」という質問には、「全く導入されていない」が60%、「現状貴社の人事は感覚的に行われていると思うか」という質問に関しては、「はい」が66%と、日本企業の多くがまだまだピープルアナリティクスを導入しておらず、未だに勘や経験による意思決定に頼っていることが分かった。なお、人事領域においては、根拠のない自信を持つ人が多いことも分かっており、結果として多くのミスマッチを生み出してしまっている可能性が高いといえる。
ピープルアナリティクスを知らない・導入していない人事担当者が多い一方で、「あなたの会社では人事・採用データを定量的な視点で分析しているか」という質問には、「はい」が45%という結果になった。さらに、「あなたの会社では何のために人事データの分析を行っているか」と聞いたところ、「採用」が31%、「適正配置」が23%、「適正評価」が20%と続き、様々な場面で役立てたいと思っていることが分かった。
しかし、実際に「活躍する人材、退職しやすい人材の傾向を定量的に把握し、打ち手に繋げているか」という質問には、74%の担当者が「打ち手に繋がっていない」と答えており、データを蓄積していても、どのように分析し生かしていったらよいのか分からない人が多いことも明らかになった。
アッテル 代表取締役 塚本鋭氏は、今回の調査結果について、「日本企業においては、HRデータの分析に取り組んでいるものの、打ち手や成果にはなかなかつながっていない実態が明らかになった。データ分析は、やみくもに実施しても効果的ではなく、目的を設定し、成果や打ち手から逆算して、分析を行うことが重要となる。ピープルアナリティクスを正しく実践することで、多くの企業で、自社における活躍・定着人材が増えることが期待される」と述べている。