タナベ経営は、「人材採用・育成に関する企業アンケート」の結果を発表した。同調査は、全国の企業経営者・役員・管理職・一般社員394名を対象とし2021年7月20日~7月31日に行われた。結果は以下のとおり。
人事採用について
コロナ禍で人材採用に対する方針を変更したか尋ねたところ、69.5%の企業は「従来通りの採用」を実施していると回答した。
また、2022年卒の新卒採用の現状に関して、採用が終了している企業は一割程度であり、内定時期が年々早まる中、半数(50.0%)の企業では現在も採用活動中という結果となった。2020年9月1日~9月18日と比較すると、「採用予定はない」と回答した企業が15.9 ポイント増加しており、新型コロナウイルス感染拡大の影響が収まるまで採用をストップしている企業が多いことが分かる。採用に関しては、2019年度・2020年度の結果と比較しても、今回の調査で大きく影響が出ている。
次に、採用活動における求める人材像や採用基準に関しては、38.0%が「求める人材像や採用基準を変える予定はない」と回答。2020年度は33.1%が「採用基準を変えた」と回答していることに対し、今年度の同回答は8.2%となっていることから、この一年で各社が求める新しい人材像が明確になり、基準が定まったことが分かる。
さらに、この2年間において、「求める人材像や採用基準は明確に制定していない」と回答している企業が大きく減少している。各企業が2020年を機に人材ビジョンを明確にし、安定した母集団形成に生かしていることが分かった。
人材育成について
コロナ環境下での育成・研修の実施事項については、「社内研修」(39.6%)が最も高く、次いで「外部研修(Web 受講)」(31.0%)となっており、テレワーク環境下において内製化を推進しながら社内研修制度を強化している様子がうかがえる。
2020年と比較すると、「社内研修」が減少し、「OJTのみ」が増加。1対多の研修よりも1対1の「OJT」が注目されていることが分かる。コロナショックを経て研修のあり方が見直されていることの証左であるといえる。
また、不足していると感じる人材に関しては、53.6%の企業が「マネージャー(管理職)」と回答した。2020年度も半数以上(53.2%)の企業が「マネージャーの不足」と回答しており、コロナショックを経て顕著になったマネージャーの不足は依然として企業の課題となっていることが分かる。次いで、「専門・技術のスペシャリスト人材」が39.1%であり、役割に応じた採用・育成を推進している企業が多いことがうかがえる。併せて、「デジタル活用に携わる人材」(34.0%)、「経営企画・戦略に携わる人材」(32.2%)の採用・育成も急務であるといえる。
それに対して、強化したい階層に関しては「管理職人材」(16.8%)よりも「中堅・リーダー人材」(43.8%)や若手人材(25.8%)のほうが高く出ている。中堅~若手社員の育成について未着手な企業が多いことが分かった。