実機を使った学習方法
私のように手当たり次第にやってみるのも、それはそれで無駄ではないと思います。しかし、ここではできるだけ体系的な学習ができる方向で、実機を使った学習方法を紹介します。
教材
まずは学習に使う教材についてです。Linuxをインストールしたものの、学習のために何をすればよいか分からないという方もいるのではないかと思います。お勧めは、『Linux標準教科書』に沿って学習を進めることです。
『Linux標準教科書』は、LPIC資格・試験を日本国内で運営するLPI-Japanが作成し、無償公開しているテキストです。Linuxのイントールから基本的な操作や仕組みまで網羅しており、実際の画面やコマンドも載っているため、独学でも分かりやすいです。この教科書を見ながらLinuxを操作していくことで、基本的な知識が身につくと思います。LPICの出題範囲のうち、標準教科書にない分野や、苦手な分野については、Webにある情報や他の参考書を使って補足するとよいでしょう。
学習環境の作り方
実機を使った学習を行うには、そのための環境を入手しなければなりません。入手方法にはいろいろ考えられますが、主な候補を挙げると以下のとおりです。
どこかの環境を借りる
学校や職場などに使用できる環境があれば、その環境で基本的なコマンドを試すことはできるでしょう。反面、Linuxのインストールを試すことは難しく、管理者権限での使用が禁止されているなど、自由に使えない部分も多いと思います。その点で学習には不向きです。
クラウドを利用する
最近では、AWS(Amazon Web Services)やMicorosft Azureといったクラウド環境に、自分専用のLinux環境を手軽に用意できるようになりました。管理者権限で使うこともできます。ただし、Linuxのインストールを試すことはできません。
仮想環境を構築する
VirtualBoxやVMwareといった仮想化ソフトを使うと、自分のPC上にLinuxをインストールできる環境(仮想環境)を構築することができます。仮想環境を構築する手間が増えますし、その仕組みや設定を多少考慮する必要もありますが、Linuxのインストールからコマンドの実行、各種の設定まで何でも行えるため、お勧めする方法の1つです。
PCにLinuxをインストールする
Linux学習用のPCを用意して、そこにLinuxをインストールする方法です。PCをLinux専用にして構わなければ最も簡単ですが、Windowsとデュアルブートにするといった場合にはインストール時に注意が必要です。また、特殊なハードウェアや最新の機種では、インストーラがハードウェアをうまく認識しないこともあります。
以上、4つの方法を紹介しましたが、最初はクラウドや仮想環境ではなく物理的な環境(PC)にLinuxをインストールするのが理想です。理解が深まりますし、問題が発生した時の切り分けも容易だからです。ただし、最近では仮想環境を使うのが、手間と学習効率のバランスの面で最も優れているのではないか思っています。
つまずいたときの対応
つまずいたときには、検索エンジンで調べたり、テキストを読み返してみたりと、やり方はいろいろありますが、まずは自分が行ったことを整理するといいです。整理することで問題が解決することもありますし、誰かに相談や質問をしたときにも整理された情報の提示を求められると思います。
どれだけつまずいて、どれだけ調べたかが実力に比例するといっても過言ではありません。つまずくことで理解の浅い部分が明確になりますし、調べ方を学ぶことはこの先の大きな力になります。つまずいたときにはチャンスだと思ってください。