早稲田大学と共同実証研究中の法人向けセルフメンタルケア事業「Mental-Fit」を運営するSENは、日本全国の人事担当者315人を対象に、テレワーク実施後の従業員のメンタルヘルスの状況に関する調査を実施し、結果を発表した。調査期間は2021年10月22日~25日。
現在テレワーク実施中の企業の人事担当者に、テレワーク導入後の従業員のメンタルの不調が増加したかどうかについてアンケートを取ったところ、20.7%が「かなりそう思う」、39.0%が「ややそう思う」と回答。全体として人事担当者の約6割が従業員のメンタル不調を実感していることが分かった。
先の質問で従業員のメンタルの不調を実感すると答えた人事担当者に、従業員向けのメンタルヘルスケア対策の実施状況を聞いたところ、66.0%が「すでに実施している」、25.0%が「実施していないが、実施を検討している」、8.5%が「実施も検討もしていないが、必要性は感じている」と回答。人事担当者のほぼ全員がメンタルヘルスケアについて前向きであることが分かった。
メンタルヘルスケア対策について、上記の質問で「すでに実施している」「実施していないが、実施を検討している」「実施も検討もしていないが、必要性は感じている」と前向きな回答をした人事担当者に、具体的に実施、または検討をしているメンタルヘルスケア対策を聞いたところ、61.0%が「組織内コミュニケーションを増やす」、59.4%が「ストレスレベルに関する問診・アンケート」、51.3%が「産業医による面談・診療」、40.6%が「勤務時間を制限する」、32.6%が「運動習慣づくり」、16.0%が「マインドフルネスやヨガのオンライン研修」と回答した。タレントマネジメント系のサービスをはじめ、組織内コミュニケーションを活性化させようとする試みが目立つ一方、マインドフルネスやヨガなど、ストレッサーに対して個人のレジリエンスを高める取り組みは、まだ主要なポジショニングを取れていないことが分かった。
上記の質問において、メンタルヘルス対策として「マインドフルネスやヨガのオンライン研修」を実施・検討している割合は全体の16.0%であったが、そもそも「マインドフルネス」という言葉を知っているかを聞いたところ、15.9%が「全く知らない」、40.0%が「言葉だけ知っている」と回答した。全体の55.9%がマインドフルネスに対して十分な理解を持っておらず、現状、メンタルヘルス対策の施策候補としてなかなか挙がってこない状況であることが分かった。
マインドフルネスについて「全く知らない」「言葉だけ知っている」と回答した人事担当者にマインドフルネスの印象を聞いたところ、34.1%が「心理療法」、33.0%が「リフレッシュ」と大多数は正しいイメージを持っていたことが分かった。一方、28.4%が「スピリチュアル」、24.4%が「自己啓発」という印象を持っており、いまだにマインドフルネスに対して「非科学的アプローチ」というイメージが根強いことが分かった。
「マインドフルネスの科学的効果や導入事例」に対して、30.6%が「とても興味がある」、43.8%が「やや興味がある」という回答を得られた。先の結果からも分かるように、マインドフルネスに対して「非科学的」という印象を持つ割合は確かに高いという現状がある。一方、グーグルが社員向けに実施している「心」に関する独自の研修「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」など、海外ではその効果が実証され始めてきており、人事担当者の7割以上がその科学的効果や事例について興味関心を抱いていることが分かった。