就活する留学生の声から見える採用企業側の課題
私が担当する日本経済大学の4年次の専門ゼミでは、現在、日本人学生以外に7ヵ国(中国、ベトナム、モンゴル、ミャンマー、ネパール、スリランカ、ウズベキスタン)の留学生が勉学に励んでいます。私は彼らの就職活動支援も行っているのですが、その中で「適性検査を受けたが日本語が難しかった」「適性検査が英語であればできたはずだ」「N2は持っているけど面接試験で緊張してしまい、日本語でのコミュニケーションがうまくできなかった」といった声を聞くことがあります。
このような声からは、留学生の新卒採用選考における企業側の課題が見えてきます。具体的には次の2つです。
- ①適性検査で望まれる配慮
- ②面接試験で特別に確認すべきこと
留学生を初めて採用する人事担当者は、これらのポイントを押さえることにより、留学生の新卒採用選考において、より確かな見極めができます。
①適性検査で望まれる配慮
近年、留学生の新卒採用選考に適性検査を取り入れている企業が増えてきています。その目的は、留学生の職業に関する適性を検査し、その結果を新卒採用や部署配置などに活かすことです。
適性検査には、論理的思考力や情報処理力、一般常識などを測る能力検査と、人間性や価値観、ストレス耐性などを測る性格検査があります。ペーパーテストやWebテストの形で実施されるこれらの能力検査や性格検査は、通常、留学生の新卒採用選考においても日本語で行われます。この能力検査や性格検査を受けたことがある留学生からは、前述したように「適性検査を受けたが日本語が難しかった」「適性検査が英語であればできたはずだ」などの声が上がっています。
このような声からは、留学生の新卒採用選考で適性検査を行う場合、言語に対する配慮が必要であることが分かります。具体的には、英語など、日本語以外の言語で適性検査を受けられる環境を整備することが望まれます。適性検査の配慮の取り組み例としては、本田技研工業株式会社やヤマハ発動機株式会社などが参考になります。