マイナビは、人事担当者を対象に調査を実施し、その結果「企業の雇用施策に関するレポート(2022年版)」を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 調査期間:2022年1月21日~1月24日
- 調査方法:インターネット
- 調査対象:従業員数3名以上の企業において、2021年1~12月に中途採用業務を担当しており、「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者
- 有効回答数:1400件
企業の5割以上が「新規採用者の賃上げを予定」と回答
2022年度の新規採用者の賃上げについて、前年度より「上げる予定」の合計は56.0%だった。内訳を見ると、賃上げ予定の水準は「前年度より10%以上」が22.4%で最も多く、次いで「前年度より1.5%以上~4%未満」が15.6%、「前年度より4%以上~10%未満」が14.4%となり、新規採用者の賃上げを行う予定の企業においては、高水準の賃上げ実施が期待できる回答結果となった。
また、業種別では、「不動産・建設・設備・住宅関連(63.1%)」「メーカー(61.4%)」で「上げる予定」の合計が6割を超えた。「商社」では「上げる予定」は50.0%と半数に留まるが、賃上げ水準は「前年度より、10%以上の水準で上げる予定」が28.3%となり、最も水準が高い。【図1】
なお、新規採用者の賃上げを行う理由(自由回答)としては、「これから新規採用を積極的に行いたいと考えている(金融・保険・コンサルティング)」「政府の意向を聞き入れ、税制優遇を考慮して(メーカー)」などの回答が見られた。賃上げ促進税制の影響や、企業の新規採用意欲の高まりが表れている。【図2】
企業の5割以上が、教育訓練費を「増やす予定」と回答
教育訓練費の増減について、前年度より「増やす予定」の合計は50.9%となった。従業員数規模別では、「301名以上」の企業で6割を超えたが、「50名以下」の企業では32.2%に留まった。業種別では、「不動産・建設・設備・住宅関連」で前年度より「増やす」が56.3%で最も高く、次いで「メーカー」56.1%、「IT・通信・インターネット」55.9%と続く。反対に「サービス・レジャー」では前年度より「増やす」が35.5%と最も低く、TOP3の3業種と比べ20%以上の差が出る結果となった。【図3】
また、教育訓練費を前年度より増やす理由(自由回答)としては、「リスキリングの必要性を感じている(メーカー)」「IT、ネット、PC、AI、ロボットなどに掛かる技術習得が必要なため(流通・小売り・フードサービス)」などの回答があり、DX推進に対応できる人材などの育成・リスキリングを、企業主体で行う意欲の高さを感じさせる。【図4】
「定年を65歳までにしている」企業が38.2%で最多
高年齢者の雇用について、「定年を65歳までにしている」が38.2%で最も多く、次いで「65歳までの再雇用制度を導入している」が19.8%となり、65歳を一つの区切りとした企業が多い。一方で、「定年制を撤廃している」は全体で13.1%にとどまったが、従業員数別で見ると「50名以下」の企業で24.9%と、従業員数が少ないほど定年制を撤廃している傾向にある。【図5】
また、再雇用制度を導入する企業に対し、再雇用後の1週間あたりの就労時間、業務量、給与(賃金)の増減について聞いたところ、いずれも再雇用前より減少する企業が多かった。特に顕著に減少していたのは給与で、「(給与が)定年前より減っている(定年前より-2割以上)」と回答した割合は40.5%に上った。再雇用契約後の給与は、就労時間・業務量に比べ減少幅が大きく、再雇用者の働く意欲の低下が懸念される。【図6】
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