ランスタッドは、労働者意識に関するグローバル調査「ランスタッド・ワークモニター」を実施し、2022年上半期の結果と日本市場の数字を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 期間:2022年2月21日~3月13日
- 対象地域:ヨーロッパ、アジア太平洋、南北アメリカの世界34の国と地域
- 年齢:18〜67歳
- 職業:最低週24時間以上勤務する従業員、個人事業主、あるいは今後就職活動を検討している失業者
- 対象数:3万5000名
- 最小サンプル数:500件(各市場)
スキルアップの機会を強く求める世界中の労働者
世界的に進むデジタル化の波によって、個人でスキルをつける需要が非常に高まっていることが分かる結果となった。世界の労働者の88%が、機会を与えられれば研修育成プログラムに参加すると回答し、84%がチャンスがあればキャリアコーチに相談すると回答していることから、スキルアップへ意欲的なことが分かった。その中でも、若い世代はコミュニケーションスキルやリーダーシップなどのソフトスキルの育成機会を強く求めていることも分かる結果となった。この数字から、世界中の労働者は、若い世代を中心に強い成長意欲があり、スキルアップとコーチングの機会を求めており、雇用主に研修育成機会の増加を望んでいる現状が考察できる。
また、新しいスキルの研修育成の重要性に価値を置いているのは中南米に多く、回答者の90%が、研修育成機会がキャリアと雇用適性のプラスになると回答した。それに対して、日本は44%と世界最低の数字を記録し、研修育成を最も軽視する傾向の市場であることも今回の調査で分かり、世界各国で大きな格差があることが明らかとなった。
「仕事で不幸になるなら無職の方がよい」と回答した日本人は世界で最も低い数字に
今回の調査で注目の結果となったのは、ライフスタイルと仕事の両立である。新型コロナウイルスの影響後、ライフスタイルを重視して働く労働者が世界的に増加。今回の調査でも、半数近くの労働者(48%)がお金の問題がなければ、あえて働かない、と回答するなど個人の幸せの在り方が重視されていることが考察できる。その中で、「仕事で不幸になるなら無職の方がよい」と回答した日本人は、世界中の労働者33%に対して、15%と世界中の市場で最も低い結果となった。日本では、世界的な潮流から乖離があり、現状では無職になるならネガティブな事象を我慢してでも定職に就く人が多いことが分かった。
日本の労働者は現状を維持するために働く人が多い
先述のとおり、世界の労働者が成長意欲を強く持っているのに対して、日本の労働者は、現在の雇用先でのキャリアアップを望んでいる人は29%と、世界中の労働者の40%を大きく下回る結果となった。この数字は、34の国と地域の中で最も低い順位となっている。また、現在の雇用先以外でキャリアアップを望んでいるかの質問についても21%と回答しており、日本の労働者が昇進や地位などを求めていないことを示している。
加えて、日本は、「社会に貢献する仕事だと感じられるなら、報酬が下がってもかまわない」という回答も、世界中の労働者の34%から乖離がある13%を記録した。この結果から、日本よりも世界各国の方が、企業の社会貢献に対して、積極的に興味を持っていることが分かる。一方で、日本は、社会貢献よりも収入を重視する点がありながらも、雇用先でのキャリアアップは望んでおらず、現状の生活を維持するために働く人が多いのではないかと考えられる。
なお、2022年ワークモニター第1版のレポート全文は、下記から日本語版、英語版(オリジナル)ともに無料でダウンロードできる。
- 日本語版:https://services.randstad.co.jp/workmonitor/2022-form
- 英語版:https://services.randstad.co.jp/en/workmonitor/2022-form-en
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