オンボーディングは“入社決定直後”から数ヵ月が勝負
岡本勇一氏(以下、岡本) 入社後に組織にしっかりと根付き、活躍していただくための手法として、オンボーディングの重要性が認知されてきた一方、コロナ禍もあり、リモートで実施することの難しさも耳にすることが増えてきました。思うように対面でのコミュニケーションができなくなった昨今、御社ではオンラインでのオンボーディングを行い、成果を出していると伺います。ぜひ、どのようになされているのか、ご紹介いただけば幸いです。
佐俣奈緒子氏(以下、佐俣) ありがとうございます。弊社は2018年2月に社員数38名でスタートし、現在では約400名超の規模になっております。急速に組織が拡大し、毎月十数名が入社しているような状態なので、オンボーディングについても重視し、さまざまな工夫をしてきました。対象期間としては、「入社した後」というより「入社が決まってから」がスタートだと思っており、入社前後の数ヵ月が大事と考えています。その人のキャラクターや能力が周囲に理解され、チームとの信頼関係を結ぶことで、自分のミッションに対して気持ちよく力を発揮できるようになることが目標です。
岡本 入社前からスタートするのですね。それは全職種ともそうなんですか。
佐俣 はい、すべての職種において行っています。まず、入社前には、社内情報を見られるサイト「hey入社控室[1]」が用意されており、そこでは内定者や中途社員からヒアリングした「入社前に知りたかったこと」をもとに作成した様々なコンテンツを閲覧できます。Google Siteで限定公開されていて、社員なら誰でも簡単に更新できるようになっています。内容としては、中期経営計画や社内報「hey hey ho」、月1回行われる全体会議「レビュー会」のスライド資料と配信動画、そしてhey用語集や組織図、入社日当日のスケジュールなども掲載しています。
岡本 すごく充実していますね。特に社員を対象にした全体会議「レビュー会」が入社前に見られるのは、モチベーションや仲間意識も高まりますね。
藤村大介氏(以下、藤村) まさに内定から入社までの間は、期待感もありながら、緊張や不安も感じる時期だと思います。入社直後は慌ただしいことが多いので、入社前にいろいろとご覧いただき、入社後のモチベーションが上がるようにしたいと考えました。「入社控室」という名称も、義務感というより、本番前にドキドキ・ワクワクしながら見てほしいという思いが込められています。
佐俣 これまで利用した社員にアンケート調査を行ったところ、「社内報だけでなく組織図、中期計画、締め会資料まで出ていたのはびっくりしました」「会社の状況についてイメージできました」「役員の方々の考えを知るのに役立った」「用語集が助かった」などのコメントをもらっており、入社前のモチベーションアップに役立っていることが分かりました。
注
[1]: takino|hey, inc.『入社がもっと楽しみに!内定者向けサイト「入社控室」を作ったぞ』(note、2021年9月6日)