厚生労働省は、2021年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を、監督指導事例とともに公表した(PDF資料)。
この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1ヵ月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死などに係る労災請求が行われた事業場を対象とする。
今回対象となった3万2025事業場のうち、1万986事業場(34.3%)で違法な時間外労働を確認したとし、是正・改善に向けた指導を行ったという。このうち実際に1ヵ月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、4158事業場(違法な時間外労働があったもののうち37.8%)だった。
なお今年度より、11月の「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的に実施した監督指導結果も同公表で集計・公表するという。厚生労働省では、今後も長時間労働の是正に向けた取り組みを行うとともに、同キャンペーン期間中に重点的な監督指導を行うとしている。
2021年4月から2022年3月までの監督指導結果のポイントは以下のとおり。
(1)監督指導の実施事業場:3万2025事業場
(2)主な違反内容[(1)のうち、法令違反があり是正勧告書を交付した事業場]:
1. 違法な時間外労働があったもの:1万986事業場(34.3%)
- うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が
- 月80時間を超えるもの:4158事業場(37.8%)
- うち、月100時間を超えるもの:2643事業場(24.1%)
- うち、月150時間を超えるもの:562事業場(5.1%)
- うち、月200時間を超えるもの:121事業場(1.1%)
2. 賃金不払残業があったもの:2652事業場(8.3%)
3. 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:6020事業場(18.8%)
(3)主な健康障害防止に関する指導の状況[(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]:
1. 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:1万3015事業場(40.6%)
2. 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:5105事業場(15.9%)
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