ジョブ型にもメンバーシップ型にも柔軟に対応できる人財基盤であるからこその強み
──中堅企業と大企業では、人事における課題感は異なるものでしょうか。
坂内:昨今、人的資本の情報開示に関するニュースが紙面をにぎわせていますが、この問題は大企業だけに関係するものではありません。むしろ、コストに占める人件費率の高い中堅企業のほうが真剣に向き合わなければならないと考えています。
おそらく今後、政府から「このデータを提出しなさい」といった方針が出てくると思いますが、そのような要請に迅速に応えられる体制を築くには、Workday HCMのようなテクノロジーが不可欠です。
また、人的資本経営の本質は、単に人事データを可視化するところにはありません。可視化した上で何が足りないのかを見極め、そこを埋めるための教育や施策を行い、その結果、ビジネスにどんな影響を与えられたのかを評価する。このPDCAサイクルを回していく必要があるのは、大企業でも中堅企業でも同じことです。
──Workday HCMは米国発のソリューションということで、ジョブ型がベースになっているのではないかと思いますが、メンバーシップ型を採用する日本企業が使いにくいことはないのでしょうか。
坂内:そうですね。たしかに Workday HCMの元の作りはジョブ型がベースになっていますし、ジョブ型を採用されている、もしくはこれからジョブ型に切り替えようとされているお客様が多いのは、事実としてあります。しかし、Workday HCMはカスタマイズ可能なので、メンバーシップ型だとフィットしないことはありません。
例えば、日立製作所様の場合、Workdayを導入された当時は、課長以上がジョブ型で、一般職はメンバーシップ型を採用されていました。今後ジョブ型にシフトされようとしている企業さんも増えているかと思いますが、いざジョブ型に切り替える際に、メンバーシップ型を前提とした日本のシステムを使っていると、データ構造的に対応しきれないのではないかと思います。
──ジョブ型へシフトする際に、気をつけたほうがよいポイントはありますか。
坂内:日本企業はシステムを導入する前にオペレーションをガチガチに固める傾向にあります。まず制度設計をしてからオペレーションを決め、それに合わせたアプリケーションを選定するという流れで進めるのが、これまで一般的だったかと思います。
しかし、このやり方はSaaSには向きません。SaaSでは“Fit to Standard”の志向で、ベストプラクティスに合わせてご利用いただいたほうが、効果を得られやすいからです。
最近では、制度設計とアプリケーション選定を同時並行で進めていき、導入したアプリケーションに合わせてオペレーションを決めていく企業も少なくありません。従来のやり方に縛られずに、柔軟な発想でプロジェクトを進めているお客様が増えてきているのも事実です。