ラーニングエージェンシーは、若手社員に対し、7月に直面している壁に関する意識調査を実施し、その結果を発表した。同調査では、現在どのようなことに困難を感じているか、不安を感じているか、仕事や上司、キャリアや自身の成長など、16の項目(以下、16の壁)について質問している。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 調査対象者:22~34歳の社会人2~4年目の就労者
- 調査時期:2022年7月22日~7月25日
- 調査方法:調査会社によるインターネット調査
- サンプル数:900人(社会人2年目:300名、社会人3年目:300名、社会人4年目:300名)
社会人2年目、3年目、4年目が感じる壁、1~3位は年次共通で「仕事に関するもの」
社会人2年目の結果を見ると、「仕事を進める上で困難に感じることがある」が68.3%の割合で最も高くなった。続いて、「仕事の量が多いと感じることがある(50.7%)」「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある(49.3%)」「自身の成長に不安を感じることがある(48.3%)」「仕事の判断を任されることがある(47.7%)」となった(図1)。
次に、社会人3年目の結果を見ていくと、「仕事を進める上で困難に感じることがある」が60.3%の割合で最も高くなった。次に、「仕事の量が多いと感じることがある」が49.0%だった。その後は「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある(44.0%)」「仕事の判断を任されることがある(43.7%)」「自身の成長に不安を感じることがある(43.0%)」と続いた(図2)。
社会人4年目の結果に関しては、「仕事を進める上で困難に感じることがある」が63.7%の割合で、最多だった。次に、「仕事の量が多いと感じることがある」が53.7%となった。その後、「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある(48.0%)」「自分の知識・スキルに不安を感じることがある(45.7%)」「自身の成長に不安を感じることがある(45.3%)」と続いた(図3)。
社会人2~4年目が、それぞれ壁と感じる割合の高い項目は、1位「仕事を進める上で困難に感じることがある」、2位「仕事の量が多いと感じることがある」、3位「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある」と、1位から3位までが同じ順位となった。4位以降は違いがあるものの、仕事に関することは年次に関わらず、共通して高い壁であることが明らかとなった。
「仕事を進める上での壁」は2年目が最大値、「仕事の量の壁」は4年目が最大値 3年目は全項目低め
各年次共通で上位に挙がった「仕事を進める上で困難に感じることがある(以下、仕事を進める上での壁)」「仕事の量が多いと感じることがある(以下、仕事の量の壁)」「仕事が飽きた、つまらないと感じることがある(以下、仕事の飽きの壁)」の3つの壁を年次別で比較した。
各年次で最も高い壁であった「仕事を進める上での壁」は、社会人2年目が最も高く、68.3%と7割近い社員にとって壁となっていた。次に高いのは、4年目の63.7%、最後に3年目が60.3%だった。「仕事の量の壁」では、社会人4年目が最も高く53.7%、続いて2年目が50.7%、3年目が49.0%となった。「仕事の飽きの壁」では、社会人2年目が最も高く、49.3%と約5割が壁を感じている。続いて4年目が48.0%、3年目が44.0%となった。
全体を見てみると、社会人3年目はどの項目においても、2年目、4年目より低い結果となった。今回、16の全ての壁の中で比較しても、社会人3年目は半数以上の項目で他年次よりも低くなった(図4)。
「仕事を進める上での壁」の具体的シーン、2年目「教えてくれる人がいない」、3年目「相談相手がいない」
ここからは、前述した3つの壁である「仕事を進める上での壁」「仕事の量の壁」「仕事の飽きの壁」について、それぞれ具体的にどのような場面でその壁を感じたのか、また壁に直面した際、各年次の社員はどのような捉え方をしたのか、結果を一部紹介する。
まずは、「仕事を進める上での壁」である、仕事を進める上で困難に感じる場面を見ていく。全年次共通で上位は「業務量が多い」「自分のスキルが足りない」「業務内容が難しい」だった。すべての年次で同じ順位となったものの、「自分のスキルが足りない」においては、2年目は3、4年目と比較すると5ポイント低い結果となった。
上位3つの項目は3、4年目が高く2年目は低い結果となったが、「教えてくれる人がいない」という項目に関しては、2年目が最も高く18.5%となった。また、割合はそこまで高くはないものの、「業務の意義が見いだせない」も2年目が最も高くなっている。
他の項目を見てみると、「相談相手がいない」「関係者が多い」においては、3年目が他年次よりも高くなった(17.7%、10.5%)。4年目に関しては、「やり方が分からない(14.1%)」「やりたい業務ではない(13.6%)」「納期が短い(3.1%)」が他年次よりも高い結果となった(図5)。
次に、「仕事を進める上での壁」を、各年次の社員はどのように捉えているのか見ていく。
2年目の社員で回答が多かった順に見ていくと、「不満を抱いた(22.9%)」「不安に感じた(22.0%)」となった。3年目は、「不安に感じた(32.0%)」が最多となり、「大変だと感じた(23.8%)」が続いた。どちらも、不満・不安・大変とネガティブな捉え方をしている人が上位に並んだ。一方、4年目は、「不安に感じた(32.5%)」が最多となった一方で、2位には「成長の機会と感じた(21.5%)」が続いた。2年目、3年目に関しても上位の項目に続き、「期待に応えようと感じた」が同率21.0%で3位に入っている。
全年次、ネガティブな捉え方が多いものの、障壁をポジティブに感じられるような前向きな社員も一定数いることが分かった(図6)。
「仕事の量の壁」は年次共通で「大変・不安」 それに続き「成長機会・期待に応えたい」といった声も
次に、「仕事の量の壁」は、どのように捉えているのだろうか。
仕事の量が多いと感じる状況に対し社会人2年目は、25.7%が「大変だと感じた」と回答しており、2年目の中で最も高くなった。次に「不安に感じた(19.7%)」となった。3年目は、「大変だと感じた」が37.4%で1位、次に「不安に感じた(21.1%)」という結果になった。3年目の「大変だと感じた」と回答した人の割合は、各年次を比較した中で最も高い割合となった。2年目も3年目も、大変・不安と、仕事の量に対してネガティブに捉える人が多いことが分かった。
社会人4年目は、「大変だと感じた(34.2%)」「不安に感じた(18.6%)」と続いたが、「期待に応えようと感じた(18.6%)」も同等の割合で2位となった。2年目3年目の3位にも「期待に応えようと感じた(2年目16.4%)」「成長の機会と感じた(3年目19.0%)」が入り、仕事を進める上での壁と同様、仕事の量に対しても、前向きに捉えて取り組む社員が一定数いることが分かる(図7)。
仕事が飽きたと感じる場面、2年目は「仕事の意義が分からないとき」、3~4年目は「いつも同じ業務・やりたい仕事ではないとき」
最後に、「仕事の飽きの壁」はどのような時に出現するのか、またその捉え方についても見ていく。
仕事が飽きた、つまらないと感じる場面について、社会人2年目の社員は「仕事の意義が分からない」と回答した割合が17.6%と最も高く、他年次と5ポイント以上の差が出る結果となった。次に「役割が変わらない」が14.9%となった。がむしゃらにやっていた1年目と違い、2年目は少し仕事にも慣れてきて、仕事の意義や意味などに意識がいくようになり、それらが不明瞭なときには、飽きやつまらなさを感じることが分かった。
一方、3年目と4年目の社員は、1位が「いつも同じ業務をやっている(3年目18.2%、4年目22.9%)」となり、2年次と大きな差が出た。特に4年目の割合が高いことから、新たな業務における刺激や、成長できる環境を求めていることが推察できる。また、2位はどちらも「やりたい業務ではない(3年目は16.7%、4年目は13.9%)」となった(図8)。
では、仕事が飽きた、つまらないと感じる場面を各年次はどのように捉えているのだろうか。
社会人2年目の社員は、25.0%が「不満を抱いた」と回答し、最も高い結果となった。次に、20.9%が「会社を辞めたくなった」と回答した。仕事の飽きやつまらない状態は、2年目社員の離職意向にもつながることが分かった。
また、社会人3年目は、25.0%の人が「不安に感じた」と回答し、他年次と5ポイント以上の差が出た。次に、22.7%の人が「不満を抱いた」と回答した。
社会人4年目は、33.3%の人が「我慢した」と回答し、こちらは他年次と10ポイント以上の差が出た。続いて20.8%の人が「不満を抱いた」と回答する結果となった(図9)。
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