クリエイティブバンクは、全国の会社員・役員を対象に、「ITツールによる企業の人材管理」に関するアンケート調査を実施し、その結果を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 調査期間:2022年11月24日〜12月2日
- 調査対象:国内在住の20~60代男女
- 有効回答者数:1077名
- 調査方法:インターネットリサーチ
タレントマネジメントシステム、企業は従業員数50名から導入検討
「タレントマネジメントシステム」は、企業に属する人材の情報を可視化し、人材を育成し配置するなどの機能を備えたシステム。このタレントマネジメントシステムについて知っているか尋ねたところ、「知っていた」と回答したのは32.3%にとどまり、「知らなかった」との回答が67.7%で多数派となった。一方で、ポジション別に見ると、人事担当の約8割、労務担当の約7割は「知っていた」と答える結果となり、逆転して多数派となった。
また、同質問に対しての答えを世代別で見ると、20代の回答者のうち51.9%と約半数が「知っていた」と回答。50代の2.5倍となり、世代間での認知度に大きな差が出る結果となった。
「知っていた」と回答した中で、実際の利用率を見ると55.3%となった。企業規模から見ると、従業員数1001名以上で利用が最も多く64.3%だった。また、従業員数50名以下の利用が23.5%なのに対し、従業員数51-100名の企業になると2倍の48.8%が利用していることが分かった。従業員数50名を境に、人材マネジメントを強化するために導入する企業の様子が分かる結果となった。
利用しているサービス・製品名について尋ねると、1位「カオナビ」、2位「タレントパレット」、3位「HRBrain」という結果になった。人材の育成や人事評価を可視化するだけではなく、採用などマルチな機能も備えたサービスが人気であることが分かる。
会社の理念浸透、人事活動から離れたポジションほど課題意識が低下
次に人材に関する「勤め先の組織課題」と「タレントマネジメントシステムによって解決が期待される課題」について尋ねたところ、人事担当と人事活動に直接関わっていない現場層では「会社の理念が浸透していない」ことに対し、7倍以上の温度差があることが判明した。経営層の理念やメッセージの浸透は社内広報などを通して行っている企業もあるが、前提として「会社の理念を浸透させることが重要であると現場層が認識していない」ことが判明した。
その一方で、人事担当回答の2位となった「人材育成が十分ではない」という課題に対しては、ポジション問わず「タレントマネジメントシステムに解決を期待する」結果となり、会社へ個々のスキル形成とその成長をサポートする役割が求められていることが分かった。
世代別では20代が最も導入に肯定的
最後に「タレントマネジメントシステムを導入したいか否か」について質問したところ、「はい」と答え、導入に最も意欲を示したのが労務担当だった。全従業員を対象とした煩雑な業務を担当することも多いポジションだけに、タレントマネジメントシステムで一元管理することにより作業効率を上げ、ヒューマンエラーを防ぐこともメリットとなりそうだ。
同じ質問の回答を世代別に見ると、「はい」と肯定的に答えた割合が最も多いのは20代だった。常日頃から少子高齢化に伴う労働力人口減少を耳にしながら、ウィズ&アフターコロナ時代の労働力を担う存在だけに、企業がタレントマネジメントシステムなどで貴重な人的資源をいかに合理的で公平にマネジメントできるかを冷静に判断しているのかもしれない。
なお、同調査の結果データは、クリエイティブバンクが運営する「デジタル化の窓口」のWebサイトで確認できる。
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