ヒューマネージは、今春入社した2023年卒の大学生・大学院生を対象に、「2023年卒 就職活動に関するアンケート」を実施した。
調査の概要は次のとおり。
内容 | 就職活動に関するアンケート |
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対象 | ヒューマネージが提供する採用管理システム「i-web」利用企業の内定者 |
有効回答数 |
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エントリー社数は10年前と比べ約半分に
2023年卒に、就職活動にて「エントリーした社数」「選考に参加した社数」「内定を獲得した社数」を尋ねたところ、エントリー社数は平均26.7社(2013年卒は52.1社)、選考参加社数は平均14.7社(2013年卒は23.1社)、内定獲得社数は平均2.5社(2013年卒は2.0社)となった。10年前の就職活動生に比べ、エントリー社数は半減している一方で内定獲得社数は微増しており、応募者優位の「売り手市場」の傾向を示している。
採用広報開始日の2ヵ月以上前から就職活動を開始
2023年卒の新入社員と2013年卒の新入社員では、就職活動のスタート時期についても明確な差がみられた。ニュースなどでは、企業の採用広報活動の開始日が本格的に就職活動が始まる日として報じられているが、「いつから就職活動を始めたか」を尋ねた結果が次図である。
10年前は、企業の採用広報が始まってから就職活動を始めた学生が6割近く(56.3%)を占めるが、今春入社の新入社員では、約9割(85.4%)が企業の採用広報が始まる2ヵ月以上前から就職活動を始めている。現代の就職活動生にとって、企業の採用広報活動の開始日が、本格的に就職活動が始まる日ではないことが分かる。
キックオフは「就職情報サイトのオープン→合説参加」から「夏インターン」へ
調査の結果について、ヒューマネージは以下のように解説している。
2013年卒の新卒採用は、世界的な経済の後退から回復へ向かう直前に行われ、大卒求人倍率[1]は1.27倍であった。一方で、2023年卒の新卒採用は、コロナ後を見据えて各社の採用意欲が回復し、大卒求人倍率は1.58倍。就職活動量の差には、いわゆる「買い手市場」か「売り手市場」かの違いが明確に表れている。さらに、この10年で就職活動が大きく様変わりしたことも影響していると考えられる。
10年前、「就職情報サイトのオープン」と、その後すぐに開催される「合同企業説明会に参加すること」が、就職活動のキックオフの位置付けだった。その後、幅広い業界の企業にエントリーし、オープンセミナー(選考に関係のないイベント)に参加し、徐々に志望業界を絞り込んでいく、つまり、本格的な採用活動が始まった後に、就活を通じて自身の志向を考え、志望業界を変更する時間的な余裕があったといえる。対して、現在の学生にとっては、夏と秋に数社のインターンシップに参加することが就職活動のキックオフとなっており、本格的な採用活動が始まる前に志望業界を絞り込み、その業界の選考にのみ参加する「狙い撃ち」の就活が一般的となっている。
今春入社の新入社員には、コロナ禍の影響で、企業とのリアルな接点が少ないまま入社している人も多い。先に述べたような、狙い撃ちの就職活動のため、入社後のギャップがあったときは、より不安や迷いが生じやすいという懸念がある。新しい仲間として、一人ひとりの新入社員に対し、成長をサポートする指導や声掛けを丁寧に行い、入社後の定着、そして活躍のための取り組みが求められるといえそうだ。
注
[1]: リクルートワークス研究所「ワークス大卒求人倍率調査」より
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