月刊総務は、全国の総務担当者を対象に「男性育休についての調査」を実施した。
調査の概要は次のとおり。
- 調査名称:男性育休についての調査
- 調査機関:同社
- 調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
- 調査方法: Webアンケート
- 調査期間:2023年3月23日~4月1日
- 有効回答数:107件
育休を取得した男性従業員がいる企業は約6割
まず、育休を取得した男性従業員がいるか尋ねたところ、「いる」が64.5%、「いない」が35.5%という結果になった。
なお、2022年4月から段階的に施行されている育児・介護休業法で変更になるポイントを理解しているか質問したところ、約6割が「理解している」と回答した。
- 理解している:63.3%
- 知っているが詳細はわからない:35.5%
- 法改正を知らない:0.9%
取得したタイミング最多は「出生後2週間以内」
取得したタイミングを聞いたところ、「出生後2週間以内」が53.6%で最多となった。
また、取得した期間は次のとおりであった。
- 1週間未満:14.5%
- 1週間~1ヵ月未満:33.3%
- 1ヵ月~2ヵ月未満:30.4%
- 2ヵ月~3ヵ月未満:7.2%
- 3ヵ月~6ヵ月未満:5.8%
- 6ヵ月~1年未満:8.7%
- 1年以上:0%
企業側の本音として、男性育休を推進したい総務は約9割
企業側の本音として、男性の育休取得についてどう思うか尋ねたところ、約4割が「積極的に推進したい」と回答した。また、「積極的ではないが推進したい」を含めると、「推進したい」が約9割を占めた。
理由は次のとおり。
- 積極的に推進したい理由
-
- 育休を経験して、考え方の幅が広がり、戻ってからもプラスに働いているため
- 当然の権利だから
- 育休発生に伴う、業務の効率化ならびに権限移譲が進むから
- 推進しなければ良い人材が集まらなくなってしまうと思う
- 積極的ではないが推進したい理由
-
- 人員の補填など、整備が必要な項目が多々あるため。積極的に取得できる環境を整えたい
- 法改正もあり、対応しないとコンプライアンス違反になるため
- 直近で取得希望者があり、その対応をすることになったので、支援体制を確立したい
- 選択肢としてあるということを理解をしてもらう程度で問題なく、積極的になる必要性はないと考えている
- 推進したくない理由
-
- 忙しい状況が続いているので、男性が育休を取ると周りの人間のモチベーションが下がると思う
- マイナスにはならないが、長い目で見て同期と比較して昇給昇格査定・成績にどうしても反映されてしまう
- 父親が育休を取る(休暇と勘違いされる)より、定時で退社して帰宅後育児を分担してほしいという女性社員の意見が多い。男性も定時または時短が取れるようにしたほうがいいのでは
約6割が、男性育休が少子化対策につながると回答
男性が育休を取得しやすくなることが、少子化対策につながると思うか質問したところ、「とても思う」と「やや思う」が合わせて62.6%となった。約6割が男性育休が少子化対策につながると考えていることが分かる。
8割以上が「取得日の3ヵ月前までに申請してほしい」と回答
男性育休の意向確認について、どのタイミングで申請してほしいか尋ねたところ、「育休取得予定日の半年前まで」が最多の29.0%、「配偶者が妊娠したらなるべく早く」「育休取得予定日の3ヵ月前まで」が同率の26.2%となった。
自社を男性育休がとても取りやすい文化だと思っている総務は2割以下
男性従業員も育休が取りやすい文化だと思うか聞いたところ、「とても思う」は2割以下にとどまった。
続けて、男性育休の取得を推進するために取り組んでいることを聞いたところ、「男性育休中にも、数日の稼働日を設けられる。取得者本人も、業務を引き継ぐ担当も、心理的ハードルが下がったとのこと」「3ヵ月以上の育休取得から復帰した場合の手当支給」「配偶者の妊娠報告があった時点で、案内を出す。他メンバーへの理解を深めておく」「取得者の感想レポートの掲示」「1ヵ月は取得が必須の制度となっている」などがあった。
なお、育休制度の通知・取得促進の方法は「社内報などでの発信」が36.4%で最多であった。
法律で決まっている以外の育休推進制度は、約9割が「ない」と回答した。あると回答した人の制度としては「12歳まで育休利用可」「育児経験者によるメンター制度(男女とも)」「復帰後の時短勤務期間の延長」「中学生までの子供1名につき年間1日の特別休暇(有給)付与」などがあった。
約2割が育休中に一部業務を実施している従業員がいると回答
育休中に一部業務を実施している従業員がいるか尋ねたところ、18.7%が「いる」と回答した
内容や頻度は次のとおり。
- 顧客対応で対応せざるを得ない部分のみ対応した
- 重要な会議や、部下からの相談などはリモートで受けたりしてくれている
- 会議のWEB視聴やメールチェックだけしているパターンが多い
育休を取得した従業員の業務は「現場のメンバーによる分担」が最多
育休を取得した従業員の業務はどのように調整しているか尋ねたところ、「現場のメンバーによる分担」が90.7%で最多となった。
男性育休取得の課題は「現場従業員の負担増」
男性育休取得に関する課題や問題点について質問したところ、「現場従業員の負担増」が83.2%で最多であった。
寄せられた声は次のとおり。
- 連続しての取得ではなく、必要に応じて単発で取得できるようになってほしいと言われた
- 給与に相当する社会保障が今はないため、男性の収入が下がってしまうことから、しっかりした育休は実質的には取得できないと思う
- 時間で取得ができる年次有給休暇を取れるようにしてほしいという声は出ています
- 残されたメンバーの仕事のしわ寄せがきつい
- 国の方針(育休取得率の開示)が、中途半端(1日でも、2ヵ月でも取得とカウントされるので)意味がないと感じている
スムーズに復職するための支援策はサポートの徹底や在宅勤務の導入
育休取得後の従業員がスムーズに復職するための支援策について聞いたところ、「業務の引き継ぎやサポートの徹底」が45.8%で最も多く、「在宅勤務の導入」が43.9%、「仕事内容の見直し」が39.3%と続いた。
【関連記事】
・女性管理職率が35%、男性の育休取得率が4割超と全国平均を大きく上回る―奈良市役所
・男性育休取得率が70%に増加、役職者も積極的に取得―ワークスアプリケーションズ
・男性育休取得率10%以下の企業は4割、企業規模が大きいほど「働き方の多様化」に課題―パーソルHD調べ