エン・ジャパンは、同社が運営する総合求人サイト「エン転職」にて、残業についてのアンケートを実施した。
調査の概要は次のとおり。
- 調査方法:インターネットによるアンケート
- 調査対象:「エン転職」を利用するユーザー
- 調査期間:2023年2月22日~3月28日
- 有効回答数:12940名
84%が「残業の有無や時間が転職活動の企業選びに影響する」と回答
「転職活動をするうえで、残業の有無や平均時間などは、企業選びにどの程度影響しますか?」と質問したところ、84%が「影響する」(とても影響する:49%、少し影響する:35%)と回答した。
年代別で見ると、20代、30代は半数以上が「とても影響する」(20代:55%、30代:56%)と回答している。
また、男女別では、男性が44%に対し、女性は54%と10ポイントの差が出る結果となった。女性のほうが残業の有無や平均時間などが企業選びに影響することが分かる。
具体的なコメントは次のとおり。
- 「とても影響する」「少し影響する」と回答した人
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- 基本的には「その環境で本当に自分自身をスキルアップさせられるか」を重要視しますが、やはり残業の平均時間も少し見ます。平日であっても家族と少しでも一緒にいられる時間を確保したいからです(23歳男性)
- 残業が前提になっていて、みなし残業代を超えないようタイムカードを切らされる職場で働いていました。社員のモチベーションが低く、たいへん働きにくい環境だったため、次の転職先は残業がほとんどなく、ある場合も正当に賃金が支払われる会社に転職したいという意思があります(27歳女性)
- 子供がいたり、ペットを飼っていて一人暮らしの場合、残業は難しい。残業無し、もしくは月20時間までで探す場合が多い。残業が月20時間以上ある職場は基本的に選ばないです(41歳女性)
- 「あまり影響はない」と回答した人
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- 残業に対しての対価が適正であればまったく問題はないです(25歳男性)
- 自分のしたい職に就けていたら嫌な残業も耐えられると思うので、企業選びには影響はしないと思います(30歳女性)
- 残業をしてでも割増賃金をもらえたほうが個人的にはありがたいので、勤務時間などの少なさを売りにしている企業にメリットはあまり感じません(42歳男性)
「コンサルティング・士業」の残業時間が増加傾向
次に「ここ数年で、あなたの残業時間は増加傾向ですか?減少傾向ですか?」と質問した。「変わらない」が50%と半数を占める結果となった。「増加傾向」は26%、「減少傾向」は24%とほぼ同率となっている。
業界別で残業時間が増加傾向にあったのは、「コンサルティング・士業」が36%で最多だった。次いで「商社」「サービス(飲食・教育・福祉など)」「マスコミ・広告・デザイン」が同率28%で続いた。一方、減少傾向の業種は「メーカー(機械・電気・電子など)」が32%で最多。「メーカー(素材・食品・医薬品・アパレルなど)」、「運輸・交通・物流・倉庫」が同率28%と続いた。
残業時間の増加理由は「人手不足」、減少理由は「企業の残業制限」が最多
残業時間の傾向について、具体的な理由を聞いた。残業時間が「増加傾向」と回答した人の理由は「人員が足りないため」が75%で1位となった。2位は「仕事量が増えたため」の67%で、3位以下の理由と大きく差が開いている。
一方、残業時間が「減少傾向」と回答した人の理由は「残業が制限されたため」の42%が最多であった。
「残業代の割増率の引き上げ(60時間超)」を知っている人は4割弱
2023年4月から法律が施行され、中小企業で働く人の「月60時間を超える残業代の割増率が50%に引き上げ」になったことについて伺うと、「知っている」は39%(内容も含めてよく知っている:9%、概要だけ知っている:30%)と、全体の4割弱にとどまった。
引き上げについて、8割が「良いと思う」(とても良いと思う:47%、良いと思う:33%)と回答している。一方で、引き上げが「良くないと思う」(とても良くないと思う:1%、良くないと思う:8%)という声も1割弱あった。
「良いと思う」「良くないと思う」と回答した人の具体的なコメントは次のとおり。
- 「とても良いと思う」「良いと思う」と回答した方のコメント
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- 規定ができれば、遵守しなければいけないし、60時間未満におさえるよう企業側も対策してくれれば、より働きやすくなると感じました(25歳男性)
- 大手企業は以前から対応していたと思うので、統一されるのはいいことだと思う(32歳女性)
- 企業としては生産性を上げるチャンスだといえるし、従業員側としては、手取りアップかワークライフバランスを重視するか、見直すきっかけになると思う(44歳男性)
- 「良くないと思う」「とても良くないと思う」と回答した方のコメント
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- 賃金が上がるなら多少の残業は我慢すべきという、残業の常在化に拍車をかけてしまいかねないような危ない雰囲気を感じる(27歳女性)
- 残業代を稼ごうとして、わざと非効率な仕事の進め方をしてしまう人が出てくる可能性があるから(33歳女性)
- 無理にでも定時内で仕事を終わらせようという動きになると、業種によっては提供するサービスや商品の質が低下してしまうのではないか(42歳男性)
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