パーソルキャリアは、転職サービス「doda」にて、職種別に残業時間を調査し、その結果を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 対象者:20~59歳男女、正社員
- 調査方法:ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査(ネットリサーチ会社保有のデータベースを元に実施、doda会員登録の状況については不問)
- 実施期間:2022年8月22日~8月30日
- 有効回答数:1万5000件
平均残業時間は22.1時間/月で、前回から+1.4時間
2022年4~6月の平均残業時間は22.2時間/月で、前回2021年の20.8時間から1.4時間増えた。2022年は緊急事態宣言が発出されなかったため、一部においてリモートワークを縮小するなどコロナ禍で制限していた労働環境を緩和する動きが見られたことが、前回よりやや残業が増えた要因の一つと考えられる。コロナ禍の影響が大きかった2020年(20.6時間)・2021年(20.8時間)と比較すると、残業は増えているが、コロナ前の2019年(24.9時間)の水準までには戻っていないことが明らかになった。
残業が少ないTOP20職種の平均残業時間は前回の13.5時間より1.5時間増え、15.0時間となった。しかし、1ヵ月の実働日数を20日とする場合、1日あたりの平均残業時間は0.75時間となり、1時間以内に収まっている。また、残業が多いTOP20職種の平均残業時間は29.3時間で、前回の28.2時間から1.1時間増という結果になった。
平均残業時間の少ない職種
職種分類別に見ると、事務/アシスタント系職種が10位までに6つ、20位以内では9つランクインした。前回調査でも、上位に事務/アシスタント系が多くランクインしていたことから、同職種の残業時間は全体的に少ないといえる。
職種別に見てみると、残業時間が最も少ない職種は「秘書/受付」で10.0時間だった。前回「秘書/受付」とともに1位だった「医療事務アシスタント」は、前回より+1.7時間で、5位に順位を下げている。一方で、前回18位だった「美容関連職(理美容/エステ/マッサージ)」は前回より-5.7時間で2位となり、大幅に順位を上げた。
TOP20までには、前回より-8.0時間の「広報/PR/IR」が20位に、前回より-7.3時間の「学術/メディカルサイエンスリエゾン」が7位にランクイン。「広報/PR/IR」は、業務のオンライン化でイベント等の準備・実施にかかる時間が短縮されたのが要因の一つと考えられる。また、「学術/メディカルサイエンスリエゾン」は、コロナ禍で医師との面談のオンライン化が進み、アポイントや移動に時間がとられなくなったことが残業時間減少の要因の一つと考えられる。
平均残業時間の多い職種
職種別に見ると、残業時間が最も多い職種は「プロデューサー/ディレクター/プランナー(出版/広告/Web/映像関連)」と「ビジネスコンサルタント」で、37.1時間だった。「ビジネスコンサルタント」は、前回の12位(27.0時間)から10.1時間増。コロナ禍で業務のデジタル化を進める企業が急速に増えたことで、需要が伸びていると考えられる。一方、前回1位だった「設計監理/コンストラクションマネジメント」は9.4時間減で、7位となった。
前回調査から+12.0時間と最も残業時間が増加した「商品企画/サービス企画」は、圏外から4位にランクイン。新しい生活様式が確立されていく中、巣ごもり消費を支える食品メーカーなど商品サイクルが早い業種や、オンライン化で競争が激化しているWebサービス関連業種などの間で、新しい企画や付加価値が高い企画、競合と差別化された企画が求められている。そういった背景の中で需要が高まり、残業増加につながったと推測される。
平均残業時間が多い年代×職種
残業が多い年代×職種のTOP3は、1位が「30代×クリエイティブ」の32.5時間、2位が「30代×建築/土木系エンジニア」の31.1時間、3位が「20代×クリエイティブ」の30.9時間で、30時間超えという結果になった。比較的残業が多いクリエイティブ職は、様々なサービスのWeb化が進んでいることや、コロナ禍によるEC市場規模拡大とともに、実店舗からEC店舗へ移行する企業が増加していることなどからWebサイト制作の需要が高く、残業時間が増えたことに影響していると考えられる。
なお、同調査の全結果データは、同社のWebサイトで確認できる。
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