パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」は、20~59歳のビジネスパーソン1万5000人を対象に、職種別に残業時間を調査し、結果を発表した。
調査の概要と結果は以下のとおり。
- 調査対象:20~59歳の男女
- 雇用形態:正社員
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調査方法:ネットリサーチ会社を利用したインターネット調査
※ネットリサーチ会社保有のデータベースを基に実施、doda会員登録状況については不問 - 実施期間:2021年8月19日~23日
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有効回答数:1万5000件
※ウェイトバック:正社員の地域・年代・性別に合わせて実施
平均残業時間は20.8時間/月
リモートワークなどにより大きな変化は見られず
2021年4月~6月の3ヵ月の平均残業時間は、全職種の平均が20.8時間/月で、前回の20.6時間とほぼ変わらない結果となった。
残業時間が少ない職種TOP20の平均残業時間は、国内初の緊急事態宣言が出される前(2020年1月~3月)の20.7時間、緊急事態宣言の期間を含む前回調査(2020年4月~6月)の14.7時間に比べ、今回はさらに減少し、13.5時間であった。
平均残業時間が少ない職種
「教育/スクール」は残業時間が最も減少し、残業時間が多い職種55位に
TOP20には、11職種中10職種の事務/アシスタント系職種がランクインし、半数を占める結果となった。この傾向はコロナ以前の2020年1月~3月、前回調査の2020年4月~6月でも同様に見られ、事務/アシスタント系の残業時間は全体的に、安定して少ないことが分かる。
前回から最も平均残業時間が減ったのは「教育/スクール」の-19.2時間で、90職種中55位となった。教育現場ではICTの導入が進んでおり、これまで手作業で行っていた宿題やテストの作成、配布、回収、採点など一部業務のオンライン化によって、業務の効率化が図られていることが要因だと同社は推測している。
フィットネスジムでは、営業時間の短縮を余儀なくされた一方で、「コロナ禍で運動不足を解消したい」「増える在宅時間を充実させたい」というニーズを追い風に、非対面でのライブやビデオレッスンの配信を導入。レッスン前後の準備や掃除などの後片付け、受講者対応の時間などが減り、残業時間に影響を与えたのではないかと述べている。
「教育/スクール」に次いで減ったのは「調理/ホールスタッフ/フロアスタッフ」で、9.4時間の減少となった。営業時間の短縮に加え、支払いのキャッシュレス化や食洗器の導入などにより一部業務が自動化されたこと、フードデリバリーのニーズ増加による接客の省人化が進んだことから、残業時間の減少につながったのではないかと同社は分析している。
平均残業時間が多い職種
労働時間が長い傾向にある建設業の中で、「施工管理」のみ残業時間が減少
TOP20には、インフラ整備や災害対策の需要が高まる「建築/土木系エンジニア」、ロボットやAI、自動化などの需要が伸びている「モノづくり系エンジニア」が4職種ランクインした。
建築業界は、以前から慢性的な労働力不足に陥っており、長時間労働者の割合が高い傾向にある。耐震対策や建物の老朽化にともなう、インフラ整備などのニーズが高まり続けているにもかかわらず、手書き伝票などのアナログ業務が多く残っているため、残業時間が増えていると、同社は分析。なお、同業界では2024年に「時間外労働の上限規制」が適応される。残業時間の削減が急務の中、人員確保は待ったなしの課題といえそうだ。
一方「施工管理」は、TOP20内で残業時間が減った唯一の建築系職種だという。同職種では、昨年からクラウド型の施工管理システムの導入による、仕事のデジタル化が進んだ。図面管理や業務連絡の一斉送信などがタブレット上で可能となり、事務所への移動時間や事務作業が削減。また、タブレット端末などを通じた現場監督が可能となったこともあり、残業時間が5.1時間の減少となった。
前回から最も平均残業時間が増えたのは、「電機メーカーの営業」。同職種は昨年、残業時間が少ない職種の20位であった。増加の背景には、世界的な「半導体不足」があると同社は推測している。半導体の入手困難化に加え、リモートワークの普及や巣ごもり需要により、PCやテレビなど半導体関連商品の需要が急拡大。供給体制のひっ迫が生じたのだという。これらのトラブルや、高まり続けるニーズへのイレギュラー対応が発生し、残業時間が増加したのではないかと述べている。
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