ジェイフィールはコロナ禍で変化した「コミュニケーション・組織・感情」「リモートワーク」について調査した。
調査の結果とそこから見える実情について、ジェイフィールは以下のように伝えている。
3年間で「不安感」が減少し「認め合い感」がトップに
2021年と2023年の感情状態を比較すると、「自分/組織感情」ともに、トップ5から不安感が消え、認め合い感がトップになったことが分かる。経済の不透明感の減少に加え、コロナ禍に個人で過ごす時間が増えて自分らしさを出せるようになったことで、他人も尊重できる「多様性の容認」がポジティブな感情を持てるようになった要因と考えられる。
自分感情では、リモートワークなど働き方が多様化されたことで、効率実感が高まった。同時に、「燃え尽き感」や「あきらめ感」を感じている人も一定数いるようだ。
また、組織感情では、強制的な分断を経て、人と会うことに喜びを感じるようになり、認め合い、支え合い、安心感、連帯感が高まっていることが分かる。
リモートワークを選ぶ理由は「効率的」
リモートワークの選択権について、週1回以上リモートワークを認めている企業では、管理職・メンバーともにかなり高いといえる。コロナ禍を契機に、働き方の多様化が認められている様子がうかがえる。また、従業員規模が大きいほど、働き方の自己選択権が大きい傾向にある。
また、反応率について、リモートワークを選択する理由の高さに比べると、出社を選択する理由の反応率が低い。出社への消極的な姿勢が表れているといえそうだ。
リモートワークを選択する理由としては、効率的で生産性が上がるためだと考える。リモートワークの開始当初は、出社をしないとコミュニケーションが取れないと考えられていたが、それも解消されている様子がうかがえる。
約半数が出社を前提とした働き方のムードがあると回答
社内のムードについて役職別に見てみると、マネージャー層も約8割がコロナ禍以前のワークスタイルに戻ることに抵抗感を示している。仮説として、経営層から出社の圧力が出ているのか、もしくは出社を前提とした部署から同調圧力が出ている可能性がある。
しかし、約半数は「出社を前提とした働き方のムードがある」と回答しており、多様性を求める社員と企業側にギャップが生じているようだ。
社内の働き方に関するムードとエンゲージメントの関係性について、コロナ禍以前の働き方に戻ろうとする企業は、従業員のエンゲージメントが低い傾向にあるようだ。また、継続勤務の意欲、意向にも影響を与えることが分かった。働き方の多様化を容認できない企業は、社員から魅力を感じてもらえず、人材流失の危険性を高めるといえそうだ。
働き方の自己選択権の有無でエンゲージメントに影響がある
働き方の自己選択権と感情にどのような相関関係があるか、パス解析を行った。選択権があると感じている人は、効率的に働いており、創造実感と周囲に必要とされている存在実感が高まる傾向にあることが分かった。結果として、仕事のやりがい、職場へのエンゲージメント、継続勤務の意欲も高まるといえそうだ。
3年間でコミュニケーションは回復傾向
コロナ当初は4割近くの人が、コミュケーションが減っているもしくは、取れていないと回答していたが、いまは2割程度に減っている。リモートワークの生活に慣れたため、2023年はコミュケーション量が変わらないと回答している人が半数以上になった。テレワーク下でもコミュニケーションが取れるようになっている様子がうかがえる。
なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査形式:インターネット調査
- 調査地域:全国
- 調査対象者:(1~4 and条件)
- 従業員数300人以上の民間企業の従業員(上場企業もしくはそれに準ずるような企業)
- 正社員
- オフィスワーク勤務者
- 最近6ヵ月以内のテレワーク経験者(週1日以上のテレワークをしている方)
- サンプル数:合計315名
- 実査期間:2023年4月21日~23日
- 対象者属性
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