識学は、「働き方の変化に関する調査」を行った。
調査の概要は次のとおり。
- 調査機関:株式会社識学
- 調査対象:全国の従業員数10名以上のリモートワークが可能な企業に勤める20歳~59歳の男女/会社員。また同じく、リモートワークが可能な企業の経営者/役員
- 有効回答数:300サンプル(会社員:200名/経営者・役員:100名)
- 調査期間:2023年3月20日~22日
- 調査方法:インターネット調査
「出社とリモートワークのハイブリッド型」が約6割
いまの実施状況にかかわらずリモートワークが可能な会社員に、現状の働き方を聞くと、「出社とリモートワークのハイブリッド型」が60.0%、「フル出社型」が25.0%、「フルリモート型(まったく出社することはない)」が15.0%という結果となった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で定着したリモートワークは、新型コロナウイルス感染症のピークが過ぎた現在でも一部残り、主流は「ハイブリッド型」になっているようだ。
Q1で「出社とリモートワークのハイブリッド型」と回答した人に「リモートワークの頻度」を質問した。最も多かったのは「週に1日程度」で31.7%。次に「週に2日程度」28.3%、「週に3日程度」23.3%と続いた。
生活の変化1位は「睡眠時間が増えた」
次に、新型コロナウイルス感染症の流行時と現在の生活の変化を質問した。「睡眠時間が増えた」が37.0%と最も多く、「趣味に時間をかけられるようになった」32.5%、「家族で過ごす時間が増えた」32.0%、「健康的な生活を送れるようになった」30.0%と続いた。
また、「現在リモートワーク(ハイブリッド型含む)」「現在フル出社」のそれぞれの立場で見ると、「現在リモートワーク(ハイブリッド型含む)」の78.7%が生活の変化があったと回答したのに対し、「現在フル出社」の58.0%が「特に変化はない」と回答した。
なかでも顕著だったのが睡眠時間で、「現在リモートワーク」の人は「睡眠時間が増えた」46.7%とトップだったのに対し、「現在フル出社」は8.0%と38.7ポイントの差があった。
次に、「Q4.【会社員】新型コロナウイルス感染症の流行時(2020年1月以降)と現在を比較し、働き方の変化によって起きた出来事・エピソードがあればお答えください(自由記述)」と質問した。
リモートワークへの肯定的な意見
- 他社との打ち合わせは、すべてオンラインで行うようになった(48歳男性、研究・開発)
- 会社でしやすい作業とリモートワークで良い作業を分けながら仕事を進められる(50歳女性、財務・会計・経理)
- 最低出社日数が定められ、それさえ満たせばリモートワークでよくなったので、時間に余裕がもてるようになった。出勤のストレスもなくなり、以前よりかなり快適になった(41歳女性、財務・会計・経理)
- リモートワークで通勤がなくなったので、隙間時間で副業や運動を始めた(56歳女性、クリエイター・デザイナー)
リモートワークへの否定的な意見
- 自室で仕事ができるという開放感がなくなりストレスを感じるようになった(42歳男性、営業)
- リモートワークの導入で、出社したときにできた簡単な意思疎通がしにくくなった(49歳女性、人事・労務)
リモートワークのメリット「通勤の負担がなくなる」約7割
リモートワークと出社では「作業効率」に違いはあるのだろうか。「リモートワークの方が作業効率が良い(やや良いも含む)」は50.0%、「出社の方が作業効率が良い(やや良いも含む)」は32.0%という結果となった。
こどもの有無で内訳を見ると、こどもがいる人の「リモートワーク派」は56.5%、「出勤派」は27.1%なのに対し、こどもがいない人の「リモートワーク派」は45.2%、「出勤派」は35.7%であった。
続いて、リモートワークのメリットを聞いた。内訳を見ると「通勤の負担がなくなる」が69.0%と最も高く、「ライフワークバランスが実現できる」43.5%、「プライベートの時間を増やすことができる」41.0%と続いた。
こどもの有無で見ると、大きな違いがあったのは「ストレス」となった。こどもがいない人は「ストレスが減る」と35.7%が回答したのに対し、こどもがいる人は14.1%にとどまった。こどもがいる人にとって、リモートワークは「通勤の負担がなくなる」ことはあっても、ストレス軽減にはつながらないようだ。
出社のメリットを質問したところ、「社員同士のコミュニケーションが取りやすい」が51.5%と最も高く、「印刷やコピーができる」44.0%、「働きやすい環境が整っている(スペース・空調・通信など)」40.0%という結果となった。
経営者・役員は「出社の方が良い」が最多
リモートワークが可能な会社の経営者・役員にも質問をした。
まず、新型コロナウイルス感染症流行時と現在の働き方の変化について、「コロナ禍からリモートワーク(フルリモートではない)を導入した(現在も継続中)」「特に変化はない」が同率で26.0%と最も多かった。「コロナ禍でリモートワークを導入したが、今後は徐々に出社を増やしていく予定」19.0%が続いた。
次に、出社とリモートワークどちらが良いか質問すると、「出社の方が良い(やや良い含む)」が43.0%、「出社とリモートワークのハイブリッド型が良い」が30.0%、「リモートワークの方が良い(やや良い含む)」が21.0%と、リモートワークよりも出社のほうが良いと考える経営者・役員が多いことが分かった。
「Q10.【経営者・役員】Q9で回答した理由をお答えください(自由回答)」の回答は次のとおり。
出社の方が良い
- 互いに顔を見てコミュニケーションを取ったほうが作業効率が良い(59歳男性、経営者)
- リモートワークはすぐに相談できないため無理がある(51歳男性、役員)
- 定例的な業務についてはリモートでも運用可能だが、プラスαの業務創出はリモートでは生まれない(59歳男性、役員)
出社とリモートワークのハイブリッド型が良い
- 今後、出産や育児、介護などさまざまな生活環境の変化に対応できるから(59歳男性、役員)
- 集まった方が効率がいいが、働き方はできるだけバリエーションに富んだ方がいい(50歳男性、役員)
最後に、経営者・役員にリモートワークのメリットを質問した。「通勤費用を削減できる」が42.0%と最も多く、「オフィスコストを削減できる」38.0%、「優秀な人材を確保できる」24.0%と続いた。会社員側は通勤にかかる時間や労力などの負担、経営者側は通勤費と理由は異なるものの、「通勤」という点でメリットが一致する結果となった。
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