エル・ティー・エスは、企業の人的資本経営を支援するサービスとして「人的資本戦略コンサルティング」の提供を本格的に開始する。
同サービスは、企業の価値創出の仕組みと人的資本に関する施策をつなげることで企業の人的資本経営を支援する。企業・事業が創出したい価値(社会・環境・顧客など)を基点に、価値を創出するために必要な機能の定義や配置などを設計。同時に、人材要件、人材ポートフォリオ、制度を設計に落とし込んで、中長期・短期の変革プログラムの策定から実行までを支援するという。
先行してサービスを提供した事例は次のとおり。
- 製造業A社
- A社のIT部門では、各事業部のIT施策をマネジメントできておらず、個別最適化を抑制できずにいた。加えて、事業の統廃合がアーキテクチャを複雑化させており、その保守・メンテナンス業務に追われていた。このような状況から、事業部の要求に自前のリソースでは対応ができていなかった。さらにIT部門は業務を外部のベンダーに丸投げしていたため、「事業課題を捉え、かつ全体最適の視点で必要なITを企画・導入していく」といった組織能力が不足していた。そこで、IT機能として創出する価値を明確にしたうえで、必要な業務機能を洗い出し、現状とのギャップを明確化した。そのうえで、自社における組織能力の構築、外部依存の脱却(戦略的な外部活用)から、IT機能の最適配置につなげていく取り組みを開始した。
- 製造業B社
- B社では、人材の維持・獲得に向けて、人材マネジメントの抜本的な見直しが検討されていた。一方で、現状は個々の人事施策が乱立しており、また、中長期的な人材戦略を描けずにいた。そこで、事業や機能価値の再定義から人材ポートフォリオ・人材要件を明確化するとともに、採用・育成戦略を具体化するための取り組みを開始した。まずは営業部門、情報システム部門で始め、そこで確立したモデルを全社展開していく取り組みを開始している。
- 金融業C社
- C社では、「組織の人材がどのような専門性・スキルを有しているか、必要なスキルはどのようなものか」についての認識が各人の理解にとどまっており、暗黙知化している現状があった。社員の「キャリア自律」を目的として、社内各部門における「必要なスキル・人材」を整理し、社員のキャリア形成の指針となるような仕組みの整備が課題となっていた。そこで、モデル部門を選定し、当該部門の「価値創出の仕組み・構造」を把握するとともに、現状の人材面の課題を抽出し、スキルマップやキャリアパスなどの人材施策につなげる取り組みを開始している。
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