ドットライフは、同社が運営する「リスキリングナビ」で、「人的資本開示におけるリスキリングの取り組みの普及率」について調査を行った。
対象企業全体の「リスキリング」記載率は6.9%
2023年度3月決算期の対象企業のうち、人的資本開示に「リスキリング」の記載があった企業は2355社中162社であった。全体のうち、リスキリングについて記載している企業は6.9%にとどまっており、経営戦略や人材戦略の柱となる施策として、投資家に開示するレベルでリスキリングに取り組んでいる企業はまだ少ないことが分かる。
リスキリングの記載率が高いのは金融業界
リスキリングの言及率が高いのは銀行業と保険業の金融業界であった。この2業種はDXに取り組む企業の割合も他業界に比べて高いことから、DXとリスキリングの取り組みの積極性は一定の相関があると考えられると同社は述べている。
従業員規模・所在地域・上場区分ごとのリスキリング記載率は次図のようになった。市場区分的にはプライム市場での浸透率が相対的に高いことが分かる。また、地域は東京、大阪、愛知と続いており、「リスキリング先進地域」はまだ生まれていないようだ。ただ、各地方自治体レベルでのリスキリング推進の取り組みなどは進んでいるため、この1~2年でリスキリング先進地域が生まれる可能性があると同社は述べている。
リスキリング施策の頻出ワードは「自律的学習」「DXやデジタル」
リスキリング施策の内容における頻出ワードは、1人ひとりが自らのキャリアやスキルの専門性を考えて自発的に行う「自律的学習」と、人材ポートフォリオに基づき今後の経営計画を実行していく「DXやデジタル」という、ボトムアップ・トップダウンの両方の傾向がみられる結果となった。
なお、同調査の概要は次のとおり。各項目の詳しい解説はリスキリングナビで確認できる。
- 対象企業:2023年3月決算の有価証券報告書 2355社
- リスキリングの記載がある企業:2023年3月決算の有価証券報告書の「サステナビリティに関する考え方及び取組」などの項目に「リスキリング」の記載があった企業 162社(リスキリングに関連する事業を提供しており、事業内容の文脈で言及されている企業を除く)
- 調査方法:金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)に掲載の情報をもとに編集部が独自観点で調査
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