日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM)は、人的資本経営に関する実態調査を行った。
調査の概要は次のとおり。
- 調査形式:Webアンケート方式
- 調査時期:2023年6月
- 調査対象:上場企業の人事担当者408名、非上場企業の人事担当者629名
上場企業の62.5%、非上場企業の37.2%が人的資本経営を「重視」
「貴社では人的資本経営を重視していると思いますか」という質問に対して、「重視している」と回答した上場企業の人事担当者は62.5%、非上場企業の人事担当者は37.2%という結果であった。2023年3月期決算より有価証券報告書における人的資本情報の開示が義務化されたが、現状の対象は上場企業に限られるとあって、上場企業と非上場企業で回答に大きな差が出る結果となった。
3年前から「人的資本経営」を行っていた上場企業は約4割
人的資本経営の取り組み状況について聞いてみたところ、10年以上前から実施している上場企業は16.2%、3年以上前から実施している企業は27.2%という結果であった。人的資本経営という言葉が出たきっかけは、2020年9月に経産省が発表された「人材版伊藤レポート」であるが、43.4%の上場企業は、それ以前から取り組みを行っていることが分かる。また、非上場企業に関しても、2割弱の企業が3年以上前から取り組みを実施しているという結果であった。一方で、「わからない」と回答した上場企業の人事担当者は27.9%となった。
開示が進んでいるのは「コンプライアンス・倫理」「育児休業」など
人的資本経営の開示状況について7分野19項目で聞いてみたところ、上場企業で「社外に開示している」が多かった項目は、「コンプライアンス・倫理」(45.5%)、「育児休業」(39.6%)、「ダイバーシティ」(37.7%)、「採用」(36.6%)でした。また、非上場企業では、「育児休業」(33.5%)、「コンプライアンス・倫理」(31.9%)、「採用」(25.4%)という結果だった。
一方で、上場企業で社外への開示が進んでいない項目は「サクセッション」(17.9%)、「スキル・経験」(18.7%)、「エンゲージメント」(18.7%)であった。ただ、もっとも取り組みが進んでいない「サクセッション」でも、取り組みそのものは77.9%の企業が行っているという結果である。
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