定義改正後のインターンは参加数・実施数ともに過去最多
次に長谷川氏が、インターンシップの定義改正による就職活動の変化を解説した。インターンシップは21年に定義改正され、25卒以降の学生を対象に「学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取り組み」として4つのタイプに整理されている。
特にタイプ3・4は、インターンシップ中に得られた学生の情報を採用活動に利用できる、「採用につながるインターンシップ」として企業・学生ともに注目されている。現に、25卒のインターンシップ(仕事体験を含む)参加率は85.7%と過去最高であった。企業のインターンシップ実施率も61.3%とこちらも過去最高だという。
「採用直結インターン」の問題点とは
一方で、インターンシップの本来の目的はあくまで「キャリア形成支援」だと長谷川氏は強調する。
「タイプ3・4を実施しても、インターンシップで得られた学生の情報を利用できるタイミングは、採用広報は3月1日以降、採用選考は6月1日以降です。しかし、このことを把握している企業はわずか36.0%でした。学生に至っては11.2%しか知らないという結果です」(長谷川氏)
長谷川氏はここに2つの問題があると指摘。「採用直結インターン」という言葉が広まった結果、早期に内定が出るという学生の誤解が生じ、就職活動の早期化を助長していると考えられる。また、採用との接続ばかりが注目されることで、インターンシップ本来の目的である「キャリア形成支援」という観点が見落とされているのではないかという。
このような状況下でも、インターンシップを自身のキャリア形成の場と捉えている学生は比較的多いようだ。長谷川氏は、よりよい職業人生を送るためには就職活動も大事であるが、その土台として、キャリア形成活動が大事であると述べる。
「学生がなるべく早い段階で、自分がどのような仕事をしたいのかといった将来について考える機会を得ることで、結果として入社後のミスマッチ防止や中長期的な定着・活躍につながります。」(長谷川氏)