コーナーは、企業の経営・人事担当者に「2024年人事の施策振り返り調査」を実施した。
各企業の2024年の注力テーマ
2024年会社として最も注力した取り組みは、「中途採用」が66.3%と圧倒的に高いことから、即戦力人材の確保が喫緊であることが明らかになった。採用後の定着や活躍を見据え「人材育成・スキルアップ」と39.0%も優先度が高い。
企業規模別で見ると、「中途採用」はどの企業規模でも優先度が高いことが分かる。中小企業では「人材育成・スキルアップ」の注力度も高く、成長過程における人材定着と育成の両立が重視されている。
「制度・ルール見直し」については、10〜100名未満の企業で組織の基盤づくりの観点で優先度が高い。一方、大企業でも相対的に高く、組織の複雑化・多様化に伴う制度最適化が求められていることが背景にあるという。
テーマ別の主な取り組み
テーマごとの具体的な取り組み内容を質問した。「新卒採用」「中途採用」ともに、厳しい労働市場の中でターゲット設定や選考プロセスの改善が重要とされている。「人材育成・スキルアップ」においては、中長期的な組織の安定性と競争力強化を目指す動きが見られた。
ダイバーシティ推進や働き方改革法案への対応としては、柔軟な働き方や外部人材の活用が進んでいるという。「テクノロジー導入」の状況を見ると、データ活用やプロセスの効率化による未来志向の人事施策が重要視されていることが分かる。
取り組みを進めるうえでの課題
各取り組みを進めるうえで、「担当者やリソースの不足」「関係者の協力や理解の不足」「従業員の意識改革の難しさ」の課題認識が強いことが明らかになった。「関係者の協力や理解不足」は規模が大きくなると回答割合が上がり、プロジェクト推進において経営層や他部署の理解・協力を得るのが難しい状況が浮き彫りになっている。
また、従業員の意識改革は管理職層の共通の懸念事項になっており、施策と現場意識のギャップを埋める取り組みの必要性が考えられると同社は述べる。
課題に対する検討施策
課題解決のために検討した・現在も検討している施策(内部施策・外部サービス)は、10〜1000名未満の中小企業では、採用面の戦術に回答が集まっている。大企業では、働き方・組織開発関連の取り組みが検討され、横断的なプロジェクトチームの設置も回答割合が多い。縦割り構造を改善する狙いが考えられるという。
2025年の注目テーマ
2025年の注目テーマとしては「AI活用」が高く、生成AIを活用した採用プロセスの自動化など、ツールが台頭してきた中で、どのように活用するか注目が集まっている。人的資本経営や人事の最適な体制も重視されており、若手から中堅まで全世代をカバーする持続可能な人材戦略を必要としていることが分かった。
なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査対象:従業員規模10名未満〜5000名以上の一般企業に勤める企業の人事部門
- 調査期間:2024年12月1〜9日
- 調査実施者:コーナー
- サンプル数:308名(経営・取締役、執行役員・統括部長級、部長級、課長・マネージャー級、係長・主任級、一般)
- 調査方法:Webアンケート調査
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