組織的アクションその1「ソーシャルスタイルの理解」
前回の記事で紹介したような「部下の本音が読めない」マネージャーを生み出さず、より良い1on1を組織的に実施できるように、「ソーシャルスタイル」を取り入れることは、人事がアプローチできるアクションとして非常に有用です。
ソーシャルスタイルとは、アメリカの産業心理学者であるデビッド・メリル氏が1968年に提唱したコミュニケーション理論です。人の言動を4つのスタイルに分けて分析、相手が望ましいと感じる対応を探し、選択する方法として活用されています。
たとえば、営業職や販売職、コンタクトセンターのオペレーターなど直接顧客と関わる職業では、ソーシャルスタイル理論を理解することで、顧客とのコミュニケーションがスムーズになることを期待して取り入れている企業が多々あります。
1on1では、マネージャーが部下のタイプごとに「このタイプには、こういった会話や褒め方をしよう」と対応することで、適したコミュニケーションの実現が期待できます。
次図のように、ソーシャルスタイルは「分析」「支持」「主導」「促進」の4タイプに分けられます。血液型占いと同じ4タイプで、初めての人でも覚えやすいため、私が支援している企業やマネージャーには積極的に推奨しています。

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また、ソーシャルスタイルをおすすめするもう1つの背景には、Z世代を含む若手の間で「MBTI診断」がブームになっていることが挙げられます。ソーシャルスタイルもMBTIも、心理学の大家であるカール・ユングの理論を基にしていて多くの共通点があり、若手とのコミュニケーションに効果を発揮しやすいのです。