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HRの未来——AIで何が変わるのか/変わらないのか | 人事領域におけるAI活用

人事領域におけるAI活用の現在と未来 自社内も活用を進めるAI企業の先進的な取り組みとは

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プロンプトの共有で社内のAI活用を広げる

松井 エクサウィザーズ社内で実践されているAI活用の取り組みについて、もう少しご紹介いただけますか。

中村 まず、プロンプトの共有があります。プロンプト作成は意外と面倒で、言語能力も求められます。最近ではプロンプトをつくるためのプロンプトがあるほどです。弊社ではexaBase 生成AIの共有機能の中に、社内の誰かが作成したプロンプトや、それをテンプレート化したものを格納しています。他の社員は必要な情報を入れるだけで、共有されているプロンプトを実行できます。

 また、AIの活用を社内で広げていくためには、プロンプトの共有だけでなく、活用状況の可視化も重要です。弊社では誰が何にどれだけAIを活用したか、さらにAIにより何分作業を短縮できたかを可視化しています。そこからは、意外な人がかなりAIを使っていると分かることがあります。そして、その人に用途を聞くと、「そんな使い方があるのか、いいね!」といったグッドケースが見つかったりします。

 社内にはチャット型のUIに慣れている人が多いので、そうしたグッドケースを見つけ出して展開していくと、スムーズに利用が広がることが多いですね。プロンプトのグッドケースを見つけてテンプレート化し、共有するだけでも、AI活用拡大の第一歩になると思います。

松井 プロンプトの共有は、社員自身が「これはみんなに共有するとよい」と思って自発的に行われているのでしょうか。

中村 はい。先々月には人事部内で50個を目標に掲げ、プロンプトテンプレートを1ヵ月で集中的につくりました。こうした活動を通して、プロンプトを組織知にしていくことを進めています。

松井 すばらしいです。自分でつくったものを共有できるとなると相互利用が進みます。プロンプトに苦手意識を持つ人にとっても、気軽に使えるようになって非常に良いですね。また、削減時間を可視化するのも個人的にすばらしいと感じます。AIによって高められた自分の生産性が可視化されることで、さらに使おうというモチベーションにつながるでしょう。このようなフィードバックはリアルタイムで提供できていない企業が多いので、面白い取り組みです。

中村 生産性を高めるという点では量が大きい業務、特に反復業務のワークフローにAIを組み込むと効果的です。今は都度チャットで相談するというプロセスを、自動的にLLMにつなげ、アウトプットも勝手に必要なところに連携されていくように完全自動化してしまうことで、大幅な時短を実現できます。おそらく今後のキーワードとなるであろう「AIエージェント」では、そのヒントが見えてくるのではないでしょうか。

不可欠な情報セキュリティと倫理観は仕組みと教育で対応

松井 こうしたAIの活用を広げる取り組みを進めるうえで、気をつけていることやケアしたいことがあれば教えてください。

中村 人事の場合、とりわけ社員の個人情報を多く扱うため、情報セキュリティの知識・リテラシーは当然必要になります。知らず知らずのうちに海外のサーバーに個人情報を送ってしまい、それがAIの学習に使われていたということは、今は容易に起こり得るからです。そうならないように制御することが難しいと感じている企業も多くあると思います。

 また、使い方を問う倫理感も非常に重要です。何でもかんでもAIに入力すると、偏見を生み出す可能性があります。

 こうした“守り”の問題は仕組みで排除するのが理想的ですが、対応できる能力を個人も持っていなければならないと強く感じています。

 一方、“攻め”の問題としてよく聞くのは、経営層と人事の間でAI推進にギャップがあるという話です。その理由はシンプルに、「人事がAIに詳しくないから」です。人事は自らリスキリングしないと置いていかれてしまい、第三者のほうが人事領域においてもより高いパフォーマンスを出すといったことが起こり得るでしょう。

松井 守りの点では、AI利用のガイドラインを定めている企業もあると思います。御社ではどのような取り組みをされていますか。

中村 大きくはまず「AI倫理ハンドブック」を用意し、AIを正しく使うことを定めています。加えて、有識者委員会も定期的に開催しており、たとえば人事系の新しいサービスをつくった際には、そのAIの使い方は本当に良いのかどうかをレビューしています。

 一方、1人ひとりの使い方については仕組みづくりと教育を地道にやっていくしかないと考えています。仕組みという点では、たとえばexaBase 生成AI for 人事では、個人情報を扱う業務の場合、言語モデルの選択の際にサーバーを完全に国内リージョンに閉じ、情報が海外に出るのを防いでいます。また、社内でしつこく教育テストを行い、個々人のリテラシー向上に取り組んでいます。

松井 個人情報をAIで扱う人、そうでない人で大別される部分もありますが、会社全体として情報セキュリティや倫理観について学んでいく素地をつくっていくことは非常に重要だと思います。

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AIエージェントがさらに業務効率化を促進する

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この記事の著者

市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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