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人事労務事件簿 | #60

求人票に記載の条件で、契約書作成前に労働契約が締結されたと判断(大津地裁 令和6年12月20日)

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 ハローワークを訪れる求職者は、求人票を見て応募する企業を判断します。当然ながら、求人票に書かれていることを信じて応募するわけですが、実際の労働条件・環境がそれとは異なることでトラブルになることは少なくないようです。今回ご紹介する事案も、「雇用期間の定めなし」と求人票に書かれていたにもかかわらず、実際には2ヵ月の有期雇用だったため、訴訟に至ったというケースです。どうしてこのようなことが起こってしまったのでしょうか。

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1. 事件の概要

 本件は、ハローワークの人材派遣会社(以下「Y社」)の求人票を見て応募、面接通過し、約2ヵ月間の試用期間勤務した者(以下「X」)が、Y社との間に雇用期間の定めのない労働契約が成立し、現在も継続しているとして、Y社に対し労働契約上の地位にあることの確認を求める等の事案です。

(1)当事者等

 Y社は、人材派遣業を主な目的とする株式会社です。

 Xは、Y社において勤務した者です。

(2)求人票について

 Y社は、令和5年5月30日ごろ、ハローワークAに、同年7月31日を紹介期限とする本件求人票を掲載しました。本件求人票には、次の概要がありました。

  • 雇用形態:正社員

  • 雇用期間:雇用期間の定めなし

  • 試用期間:試用期間あり。期間:2ヵ月間。試用期間中の労働条件異なる(条件の内容:試用期間中のみインセンティブの支給なし)。

  • 職種  :人材コーディネーター(栗東営業所)

  • 仕事内容:人材派遣会社にて営業職・新規開拓の法人営業・既存顧客の派遣社員のフォロー・取引企業の依頼に対する人材の提案・応募者対応、面接

  • 就業場所:栗東営業所

  • 賃金  :

    基本給 月額25万円、固定残業代なし、
    その他手当付記事項:

    • ・営業手当粗利益に対して5パーセントから10パーセントのバック0~90万円
    • ・管理手当粗利益に対して10パーセントのバック0~90万円
    • ・役職手当0~15万円
    • 賃金締切日固定(月末)
    • 賃金支払日固定(月末)

 Y社の自社ウェブサイト上の求人情報においても、令和5年6月ごろにおいて、おおむね同様の記載がされていました。

(3)Xの応募

 Xは、令和5年6月19日、本件求人票を見て、Y社の従業員であるBに電話してY社の求人に応募し、同月20日、本件面接を受けました。

 しかし、本件面接時までの間に、Bから、雇用期間が2ヵ月である旨の説明を受けたことはありませんでした。

(4)Xの採用

 本件面接終了後、Bは、Y社代表者からXを採用することにつき了解を得て、Xに対し、令和5年6月20日、Xの採用を決定した旨を電話により連絡しました。

 同年7月1日を就業開始日として本件内定通知をしたところ、Xは、その場で、Y社において就労することを承諾しました。

 Bは、本件内定通知の際も、Xに対し、雇用期間が2ヵ月であることを伝えておらず、また、同月21日に、Y社の事務所に来てもらいたい旨を伝えました。

(5)契約書の作成

 Xは、令和5年6月21日、Y社の事務所において、Y社代表者およびBと面談し、本件契約書および添付の遵守事項承諾書を作成しました。

 本件契約書には、次の記載がありました。

  • 雇用期間:令和5年7月1日~令和5年9月30日。ただし、雇用期間の末日について、9月30日から8月31日と捨印訂正されている。
  • 賃金:基本給 月額25万円。諸手当(通勤手当その他手当)は所内規程による。賃金締切日(毎月末日)
  • 契約更新の有無:更新しない

(6)労務提供の拒否

 令和5年7月3日からY社において勤務を開始したところ、令和5年8月25日、Y社はXに対し同月31日をもって労働契約を終了させる旨を通知し、同年9月1日以降の労務の提供を拒否しています。

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この記事の著者

坂本 直紀(サカモト ナオキ)

人事コンサルタント、特定社会保険労務士、中小企業診断士、坂本直紀社会保険労務士代表社員。就業規則作成・改訂、賃金制度構築、メンタルヘルス・ハラスメント対策社内研修などを実施し、会社および社員の活力と安心のサポートを理念として、コンサルティングを行う。 ホームページに多数の人事労務管理に関する情報、規定例、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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