Workdayは、グローバル調査を実施し、調査レポート「AI Agents Are Here—But Don’t Call Them Boss」を発表した。
「指揮官」ではなく、「副操縦士」としてのAI
従業員の4人に3人は、AIエージェントとともに働き、新しいスキルを提案してくれることに強い安心感を抱いているが、AIエージェントに管理されることに前向きな人は30%にとどまった。さらに、人間の知らないところでAIエージェントが裏で稼働することに前向きな考えを持つ人はわずか24%。従業員との信頼を築き、AIの導入をさらに広げていくためには、AIの役割の線引きを明確に定義することが鍵となる。
日本においても、AIエージェントに対する受け入れやすさは、協業・助言的な役割で最も高く、AIが新しいスキルを提案することに対しては88%が「抵抗を感じない」と回答した。一方で、AIに管理されることへの前向きな回答はわずか24%にとどまっている。グローバルの結果とは対照的に日本では、人間の知らないところでAIエージェントが稼働することに前向きな考えを示した人が43%に上った。
利用経験がAIエージェントへの信頼性向上に直結
依然として4人に1人以上の回答者は、「AIエージェントは過大評価されている」と考えているものの、利用経験が増えるにつれて信頼性は大きく向上することが分かった。試験的に導入している段階では、自社のAI活用を責任あるものと信頼している割合はわずか36%だが、本格的に活用している層では95%に達した。AIエージェントとの直接的な体験が、自信と信頼を築くことにつながるという。
日本では、従業員と組織の両方の利益のためにAIエージェントを使用することに対する組織への強い信頼があり、92%が多少なりとも、または大いに信頼していることが明らかになった。
「プレッシャーの増大」「批判的思考力の低下」などに懸念
約9割の従業員は、AIエージェントが業務効率を高めると考えている一方で、「プレッシャーの増大」(48%)、「批判的思考力の低下」(48%)、「人間同士の交流機会減少」(36%)を懸念していた。これは、従業員のウェルビーイングを優先した慎重なAI導入が必要であることを示している。
日本の回答者では、「健康・ウェルビーイング」(43%)に加え、「オンボーディング」(50%)の領域においても、AIによる効果への期待はそれほど高くなく、一部には依然として懐疑的な見方が残っていることが分かった。
AIエージェントと人間の役割の明確化
多くの従業員は、AIエージェントを重要なチームメイトと見なしてはいるものの、完全なワークフォースとは捉えていないという。AIへの信頼度は業務内容によって異なり、ITサポートやスキル開発では高く、採用、財務、法務などの機密分野では低い傾向がある。これらの結果から、AIを活用する際には、人間による監督と説明責任が不可欠であることが見て取れる。
日本でも同様の傾向が見られ、ITインフラやテクノロジーのプロビジョニングといった技術分野では、AIエージェントへの信頼が人間よりも高い、あるいは同等とされている。また、スキル開発管理においては71%が「人間とAIを同等に信頼している」と回答しており、特定の役割ではAIと人間の信頼度がほぼ同等であることが確認された。
なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査対象:北米(706名)、APAC(1031名)、EMEA(1213名)のフルタイム意思決定者およびソフトウェア実装リーダー2950名。なお、APACのうち、日本からは193名が調査に参加
- 調査期間:2025年5~6月
- 調査方法:Hanover ResearchがWorkdayの委託を受けて実施
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