マイナビが運営する「マイナビあなたの介護」は、民間企業の人事・労務関連業務の担当者を対象に行った、「マイナビ 企業におけるビジネスケアラー支援 実態調査」の結果を発表した。
介護離職防止のための雇用環境整備状況について、36.9%の企業が未実施
2025年4月に施行された「育児・介護休業法」の改正では、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や、介護離職防止のための雇用環境整備がすべての企業に義務付けられた。
しかし、企業の人事・労務関連業務の担当者を対象に、法改正後の勤務先での対応状況を聞くと、36.9%の企業が「介護離職防止のための雇用環境整備を現在実施していない」と回答。そのうち、「今後も実施予定がない」と回答した企業が56.1%で半数以上だった。
この結果は、法令遵守の観点からも深刻な課題であり、介護離職の未然防止に対する企業の対応が追いついていないことが分かる。
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「ビジネスケアラーへの支援制度があり、内容も十分である」と考える企業はわずか1割
ビジネスケアラーへの支援制度について企業の対応状況を聞くと、「すでに支援制度があり内容も十分である」と答えたのは10.0%にとどまった。
「支援制度はあるが見直しが必要」は26.4%、「制度は整備されておらず、早急に対策に取り組むべきだと思う」は22.7%と、約半数が制度設計の必要性は理解しているものの、実質的な対応が進んでいない現状が明らかとなった。
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また、ビジネスケアラーへの支援や、介護への理解を促進する取り組みの導入を行う場合、どのような要素があれば検討するかを聞くと、「介護を行う社員が増えた場合に検討したい」が43.5%、「介護離職が増えた場合に検討したい」が34.3%で上位となった。
多くの企業が、問題が顕在化してから対応する姿勢を取っており、介護と仕事の両立支援における予防的な取り組みが十分に行われていないことが推察される。
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約2割の企業がビジネスケアラーの人数を「把握していない」
家族の介護を行う社員数をどのように把握しているか聞くと、20.2%の企業が「把握していない」と回答した。介護と仕事の両立支援のための「対象者の把握」ができていない企業が一定数存在することが明らかとなった。
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また、人事部門が抱えている課題の中で、優先度の高いものを5つ聞いたところ、14.9%が「仕事と介護の両立支援」を選択した。「介護と仕事の両立支援」が法的義務であるにもかかわらず、人事戦略の課題の中で重要課題として位置づけられていないという。
育児や採用、評価制度などと比べ、介護支援が「まだ先の話」「一部の人の問題」と捉えられている可能性を示唆しているとのことだ。
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なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査期間:2025年6月27~30日
- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:民間企業で人事・労務業務に携わる20歳以上
- 調査委託先:マクロミル
- 有効回答数:618名
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