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人事業務のどこに効く? 生成AI活用の「今」と「これから」| 第2回

「人事領域の生成AI活用」を日米比較で読み解く——“質の高い”利活用を阻害している日本特有の文化とは

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生成AI活用が広がりにくい意外な理由——法的リスクとは

 制度や文化に加え、日本特有の労働法規もまた、生成AI活用の幅を狭める見過ごせない要因となっています。特に、人事評価や人材配置といった領域では、解雇規制の厳しさがAI活用の大きな壁として立ちはだかります。

 米国では、多くの州で「At-will(アットウィル)雇用[3]」が原則とされており、企業は比較的柔軟に従業員との雇用契約を終了させることが可能です。そのため、生成AIが分析した客観的なパフォーマンスデータに基づき、低評価者への改善指導や、場合によっては配置転換や解雇といった厳しい判断を下すことも制度上は行いやすい環境にあります。

 一方、日本では「解雇権濫用法理[4]」により、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は無効とされます。生成AIが「パフォーマンスが低い」と結論づけたとしても、それだけを理由に従業員を解雇することはきわめて困難です。

[3]: アメリカで一般的な雇用制度で、雇用主と従業員のどちらでも、特別な契約がない限り、いつでも理由を示さずに雇用関係を終了できる原則のこと。

[4]: 「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効とする」という法律上の考え方。

 この法的な違いは、企業が生成AIを導入する際のインセンティブに大きく影響します。米国企業が生成AIをパフォーマンス管理の中核に据え、戦略的な人材配置や組織の新陳代謝を加速させるツールとして活用できるのに対し、日本企業では同様の活用は法的なリスクを伴います。結果として、生成AIの活用範囲は法的リスクの低い採用支援や研修といった領域に偏り、人事戦略の根幹に関わる部分での活用にブレーキがかかってしまうのです。

 重要なのは、これらの課題が個別に存在するのではなく、互いに複雑に絡み合い、影響し合っている点です。たとえば、法的な制約が、データよりも長期的な観察や勘を重視する文化を補強している側面があり、この構造全体が生成AI活用の障壁となっています。

 しかし、だからこそ今、日本企業には部分的な最適化にとどまらず、全体をつなぐ“基盤”づくりが求められています。

 後編では、生成AI活用におけるもう1つの不可欠な要素である 「データ基盤の整備」 に注目し、人事関連データがシステムごとに分断されている“サイロ化”の課題をいかに克服するか、そして、データを横断的に活用できる環境をいかに構築するか──その具体的なアプローチを探ります。

後編は近日公開予定です。

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人事のどこに効く? 生成AI活用の「今」と「これから」連載記事一覧
この記事の著者

袋瀬 淳(フクロセ ジュン)

株式会社Works Human Intelligence/WHI総研大手不動産会社にて企業の寮や社宅の運用支援を通じた業務改革に従事後、Works Human Intelligence入社。保守コンサルタントを経て、多くの企業を見てきた経験を活かし、人事全体の事例・トピックスの研究・発信活動を行って...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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