ジェイックは、アスマークに調査委託した「年代別管理職の課題と組織に与える影響」に関するアンケート調査の結果を発表した。
管理職の課題は年代が上がるにつれ、巻き込み力・チームビルディング・後進育成へと変化
企業の経営者・人事担当者に、年代別管理職の課題として感じるもの質問したところ、20~30代の若手管理職では、「該当者なし(社内に20~30代の管理職がいない)」を除き、「目標達成に向けたチームマネジメント(計画・実行・管理)」が20代管理職で24.5%、30代管理職で23.8%と最多となった。さらに30代では、「他部署・他部門との連携推進力」が22.8%、「部下を動かすコミュニケーション力」が20.3%と、周囲を巻き込むマネジメントスキルへの課題意識が高い傾向が見られた。
40代管理職では、「部下の強みを活かしたチームビルディング力」が25.5%で最も多く、次いで「部下を動かすコミュニケーション力」が23.8%、「目標達成に向けたチームマネジメント(計画・実行・管理)」が23.5%と続いた。目標達成に向けてチーム全体の力を引き出し、最大化する力が求められていることがうかがえる。
50代管理職では、「目標達成に向けたチームマネジメント(計画・実行・管理)」が22.0%、「部下を動かすコミュニケーション力」が21.8%で上位を占める一方で、「権限委譲を通じた部下育成(仕事を任せ育てる力)」が13.3%、「部下のキャリア形成支援」が12.8%など、後進育成に関する課題が他年代より高い割合となった。次世代の育成に対する期待や役割の大きさが示されている。
60代管理職においても「目標達成に向けたチームマネジメント(計画・実行・管理)」が18.3%で最も多い結果となったが、そのほかの課題はすべて10%前後で拮抗しており、課題が多様化・個別化している可能性が示唆された。
20~30代の若手管理職では、業績や成果に直結する計画力や実行力といったスキルへの課題感が強く、40~50代の中堅層では、それに加えて、チームを束ねる力や部下育成への課題感が強まる傾向が見られ、管理職の年代が上がるにつれ、課題の焦点はシフトしていることが分かった。
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約7割が「管理職の課題が組織に影響を与えている」と回答
続いて、年代別に特色のあった4つの課題について、管理職の課題が組織に与える影響としてあてはまるものを聞いたところ、経営者・人事担当者の約3割は「あてはまるものはない」と回答したが、残る約7割は何らかの影響を感じており、管理職の課題が組織全体に一定の影響を及ぼしていることが示唆された。
「目標達成に向けたチームマネジメント(計画・実行・管理)」が組織に与える影響
「短期業績の悪化」が25.0%、「長期業績の悪化」が23.0%と割合が高く、管理職の計画や実行力が企業業績に直結する可能性が改めて示された。
「他部署・他部門との連携推進力」が組織に与える影響
「長期業績の悪化」が20.8%、「企業内でのシナジーやイノベーション創出の停滞」が19.0%と上位に挙げられ、部門間の連携不足が組織全体の成長スピードや新しい価値創出を妨げている様子がうかがえる。
「部下の強みを活かしたチームビルディング力」が組織に与える影響
「部下のモチベーション低下」が23.3%や「部下のエンゲージメント低下(愛着・思い入れなど)」が17.5%と割合が高く、管理職がチーム力を引き出せないことがメンバー個々の士気や帰属意識の低下につながる可能性が示された。
「部下を動かすコミュニケーション力」が組織に与える影響
「部下のモチベーション低下」が28.8%と最も高く、設問の影響の中でも特に大きな割合となった。管理職の日々の声掛けや対話の姿勢が、部下の働く意欲や組織への思い入れに影響する可能性が示唆された。
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なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査名称:「年代別管理職の課題と組織に与える影響」に関するアンケート調査
- 調査対象:経営者・人事担当者
- 調査機関:アスマーク
- 調査方法:Webアンケート
- 調査期間:2025年9月14~18日
- 回答者数:400名(従業員50名以上の企業の経営者200名、従業員100名以上の企業の人事担当者200名)
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